いつものお昼
冬倉朱華
第1話お弁当
今日から家にいなくてはならない
これも全てなんとかウィルスのせいだ
だからストレスが半端無い、唯一の楽しみ弁当もなくなった
どう思われているかわからないが学生である僕の楽しみはお昼休みと放課後だ
特にお昼休みの弁当はいつも楽しみだった
何故なら父親が頑張って弁当を作ってくれているから
何故父親なのかというと僕の家庭は父子家庭なのだ
親父はコミュニケーションとか言って毎回凝った弁当を作る
でも今は休校中だ
凝った弁当が見れない
これはストレスだ
親父に普段通り弁当を作ってくれと言ったら怒られた
休みくらい自分で作れ!と
僕はお昼ご飯を作らなければならない
結論から言うと失敗した
卵焼きは焦げた、ハンバーグは生焼けだった
そして何よりクソ不味い
僕は泣いた
弁当も不味い、作ることもできない、泣くしかない
親父が帰って来てお昼ご飯のことを聞かれた
失敗した、そう伝えた
親父は笑った
そんなもんだ、よく頑張ったな
誉められたことが意外だった、嬉しかった
次の休日からいっしょにお昼ご飯を作ることにした
料理を覚えて親父を越えたかった
越えられなくても上手くなりたかった
そこからお昼ご飯を作り続けた
気がつけば50年経ってた
結婚もした、子供もいる、でも休みの日は親父とお昼ご飯を作った
いっしょに作って、食べて、話して気がつけばもうおっさんだ
すっかりジジイになった親父が言う
そんなもんだ、よく頑張ったな
僕は笑いながらお昼ご飯を食べ終えた
いつものお昼 冬倉朱華 @takahara1022
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます