第2章

第1話 招かれざる客人

「主人公のダメなところ?」

「そう、言わば今回のゲームのスタートとゴールだ」

「主人公が女たらしとか、ヘタレとか、浮気性とか、浪人生とか?」

「今回の主人公は大学生になってるって知ってるよね!?一番最後はリアルの俺の痛いとこなんだから、そこ突いてこないでよ!?」


 好きで浪人生になったんじゃないんだからな!……ていうか、その前の三つも俺のことか!?


「まあ、前作(冴えない彼女の育てかた)の主人公と同一人物だから、前作の悪いところを引き継いでてもいいし、新たに悪いところを作ってもいい。とりあえず、ひたすらアイデアを挙げていって、その上で前作の主人公と比べて矛盾がないかを判断して取捨選択していくから、恵が思い付くだけ意見を出していってよ」


 今は平日の夜遅く。相変わらず、明日も大学がある恵を捕まえて、次のギャルゲーのミーティングだ。ただし、恵がいるのはパソコンの画面の中。さすがに大学だと高校のときとは違って帰宅時間が遅くなることも多く、帰宅後にそのままミーティングを行うことは少なくなった。

 ……まぁ、恵なら呼んだら来るんだろうけど。


 改めて今年の冬コミでの発売を目標としているギャルゲーについて説明しておくと、大学生になった前作の主人公が大学生活を送るうちにどんどん堕落していって、どんどん糞野郎になっていく。そんな主人公についていけなくなった巡離は別れを決意する。そして、別れ話をしている時に突然発生する奇譚なイベントに巻き込まれていく。そのイベントを二人で解決した後、主人公が過去の二人のいろんな記憶を思い出し、もう一度チャンスをくれと言って、糞野郎の自分を変えていく。そしてそんな主人公に巡離が惚れ直していくというストーリー(仮)だ。

 その中で裏の目的として、俺は俺自身をこの主人公に投影し、俺自身を変えたい、恵が俺のことをもっと好きになるように俺が変わりたいという裏の目的がある。

 というわけで、まずは恵に意見を求めた。前作の主人公も実体験をもとにしているから、ある意味俺自身と考えてもそんなに遠からずというわけだ。だからここで恵が挙げる主人公のダメなところが俺自身の悪いところになると考えられる。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「……なところかなぁ、あと他には…」


 恵が挙げていく意見を俺がテキストエディタで書き起こしていく。そんな作業が数十分続いたところだった。


「……なあ、恵。ちょっと待ってくれ」


 意見の途中だったが、俺は一旦恵に声をかけて、次のアイデアを言ってもらうのを止める。


「何、倫也くん?」

「悪いところをたくさん挙げてくれるのはいいんだ。……いいんだけどさぁ」


 恵から意見を聞き出した結果、テキストエディタには悪いところがずらりと並んでいる。それを眺めていると頭が痛くなる。……いや、痛いのは頭だけじゃなくて、心まで痛くて。原因はその悪いところの数じゃなくて別にあった。


「意見を挙げる度に、俺の心を抉るように具体的なエピソードを言うのやめてくれない?」

「え~?」


『わたしの扱いが雑過ぎる』だとか、『英梨々が那須高原で倒れたときに、わたしに報連相がなかった』とか、『わたしより先に詩羽先輩に初キスをあげちゃう』とかさぁ!?

 恵のひと言ひと言がめちゃくちゃ刺さるんだよ!しかも、言い方がめっちゃ嫌味ったらしいし!ていうか結構私情入ってない!?最後のは回避不可避だったからな!?

 ……んでもって、最初から主人公の悪いところじゃなくて、俺の悪いところになってるし。


「だって、具体的なエピソードを挙げないと本気で直そうって気にならなくない?」

「そりゃそうだけど、もうちょっとオブラートに包んでくれないと、そろそろ心折れそうなんだけど?」

「あ、じゃあ、悪いところに『ガラスのハート』って追加しておいて」

「……おい」


 こんな状況でも俺の悪いところ追加してくるなんてしたたかですね、恵さん?俺、しまいにゃマジで泣くぞ!?


「でもさぁ、倫也くん」

「ん?」

「やっぱり、わたしの意見だけじゃだめだと思うよ?」


 恵はそんなことを言いながら、頬杖をついて物憂げな表情を浮かべる。


「でも、俺としては恵に考えてもらいたいんだよ。恵なら俺のことよく見てるから、いい意見が出てくると思うんだ」

「う〜ん、そうじゃなくてさ……」


 恵はカメラから目線を少しだけ外して、言葉を紡ぐ。


「わたしじゃ、倫也くんのこと贔屓目でしか見られないよ」

「恵……」


 それは、たぶん『恋は盲目』ってやつで。主人公の、もとい俺の悪いところはもっとあるんだろうけど、恵には見えなくなってるところがあるということだ。

 ……あれ、ということは?


「……贔屓目無しだったら、どんだけ悪いところ出てくるんだよ?」

「三倍くらいは出てくるんじゃない?」

「えぇ……?」


 その主人公とんでもない糞野郎じゃねぇか。て言うかその贔屓目フィルター、ゴミ性能過ぎやしない?そんなに悪いところブロックしちゃって大丈夫なの?

 ……まぁ、こんな掛け合いができるのも俺と恵の仲だからということで。


「それで話戻すけど、氷堂さんや出海ちゃんや波島くんにも意見を聞いたほうがいいんじゃないかなと思うんだ」

「まあ、それはそうだな」


 いわゆるブレインストーミングってやつだ。意見は多いほうがいいし、多く出たのであれば後から取捨選択すればいいだけの話だ。


「じゃあ、みんなで集まって意見収集だな」


 だとすれば、人が多いほうが良いし、英梨々と詩羽先輩にも声をかけておくか。

 そう思った矢先、


「倫也くん、先に言っとくけど、英梨々と霞ヶ丘先輩は呼ばないからね」


 こいつ、俺の心を読んでやがる……!?

 俺は驚きを隠しつつ、ジト目で睨む恵に尋ねる。


「いいけど、何で?人が多い方がいいんじゃない?それに詩羽先輩に全体の内容とかプロットとかを聞いてもらって意見を聞きたいし」


 恵は『わかってないなぁ』と言わんばかりに眉間に皺を寄せてため息をつく。


「あの二人はうちのサークルのメンバーじゃないし。……まぁ、英梨々ならまだいいんだけど、霞ヶ丘先輩は要らないかなぁって」

「……前の飲み会のことそんなに根に持ってんの?」


 およそ二週間前の飲み会では、詩羽先輩は未成年にもかかわらず町田さんとともにビールを飲みまくり、酔っぱらって俺にめちゃくちゃ絡んできた挙げ句、恵に返り討ちにあって涙目敗走している。

 いやぁ、酔っぱらった詩羽先輩は本当にめんどくさかった……。


「いや、前の飲み会は関係ないよ。あの人、下ネタ多いし、いちいち絡んでくるし、飲んでなくてもめんどくさいし」


 ……どんだけ恵に嫌われてるんだあの人。


「それにさ、わたしが知らなくてもいいような倫也くんの過去の話とか出してきそうだし」

「HAHAHA……、ソンナ過去ノ話ナンテナイヨ?」

「うん、わかってるよ。言いたくない過去、知られたくない過去があるのはみんな一緒だし」


 全然わかってねぇ!俺の話聞いてねぇじゃん!?

 俺の片言になった日本語をさらっと無視しながら、恵は頬杖をついたまま億劫そうな表情のまま言葉を続ける。


「過去のことだから、隠すことはできても変えることはできないよね?」

「まぁ、そりゃ……な」

「わたしは倫也くんの過去の話なんてそんなに興味ないし。その中には逆にわたしが知りたくもない話も混じってて、そんな話を霞ヶ丘先輩はわたしに嫌がらせするみたいに言いそうだし」

「……何となく想像できるな」


 ……やっぱり俺も詩羽先輩のこと性格悪いと思ってるんだろうか?

 俺だって恵の過去の話がどうとかってあんまり興味はないし、話したくないなら別に無理に聞いたりはしない。さらに言えば、俺にだって恵の知りたくない話があると思う。それを別の第三者から聞かされるのはやっぱりいい気分ではない。……まぁ恵に限ってそんな過去はないと思うけど。…………ないよね?

 そう考えると、霞ヶ丘先輩は呼ぶべきではないかな……。シナリオのプロットとかの相談は恵がいないときにやればいいか。


「一応、確認しておくけど」

「ん?」


 恵は頬杖を崩さず、目線だけを俺の方に目を向ける。


「霞ヶ丘先輩と英梨々とはキス以上の関係は無いよね?」

「ないから!英梨々とはキスすらないから!」

「もし、キス以上の関係があったら、本当に怒るからね?」

「すいません、マジで勘弁してください」


 いや、謝ってるけど本当にそれ以上は無いからね!?


「じゃあサークルのグループラインでメッセージ送って予定調整するから、返信よろしくな」

「は~い」


 招集するメンバーは美智留と出海ちゃんと伊織の三人に決め、ささっと予定日の候補を打ち込み、グループラインに送る。

 そして、一区切り付いたところで、


「じゃ、悪いところのアイデア出しの続きやろっか」

「……お手柔らかにお願いします」


 主人公(俺)の悪いところの洗い出しの続きが再開された。

 そして、そのアイデア出しはさらに一時間以上続いて、出てきた悪いところは倍に増えていた。…………当然とげのあるエピソードもセットで。

 ねぇ……本当に贔屓目フィルター効いてるの、これ?……ていうか泣いていいですか?



 * * * * *



 主人公、もとい倫也くんの悪いところを気分がスッキリするほど挙げてから数日後の休日。今日は倫也くんの家でみんなとミーティングをする日だ。みんなに午後一時に集合予定と伝えてあったけど、わたしは午前中から先に来ていた。

 と言うのもミーティング中の食事やお菓子の準備のためだ。別に、そんな準備なんてする必要はないんだけど、こうやってミーティングをするための準備ですら、このサークル活動の楽しみのひとつになっていた。だって、みんなでわいわい話をして一緒にゲームを作っていくのは本当に楽しいから。

 そして、その準備を倫也くんと一緒にしているのもあってさらに楽しかった。

 最初、倫也くんは手伝うのをゴネてたけど、


「悪いところが山ほど出てくるんだから、こうやっていいところも見せておかないと立場無いよ?」

「……マジでそんなに悪いところ出てくるの?」

「それにサークル代表なんだしメンバーを労ったりするのも大事な仕事だよ」

「それって今まで恵の仕事……」

「はい、そうやってわたしに全部投げるの悪いところだよ」

「…………お前何でもかんでも『悪いところ』って言って俺のことこき使おうとしてないよな?」

「…………そんなわけないよ?」

「ちゃんと俺の目を見て言ってくれませんか?恵さん?」

「じゃあ、倫也くんこれボウルに入れといてね。わたしこっちで作業してるから」

「…………おい、無視すんな」


 そんなやり取りでうまく倫也くんにも手伝ってもらうことに成功した。せっかく倫也くんを良いように使えそうな口実を手に入れたんだし、使えるときに使っておかないとね。

 そんな感じで二人で慌ただしく準備をしている中、ピンポーンと呼び鈴の音が響く。


「ごめん恵、悪いけど代わりに出てくれない?」

「え~、わたしもそんなに余裕ないんだけどなぁ」


 倫也くんは自分の作業に必死で、手が放せないらしい。わたしも忙しいんだけど、倫也くんにお手伝いをお願いしたのはわたしなのだから。一旦自分の作業を止めて台所のシンクで手を洗い、いそいそと玄関へと向かう。


「は~い、ちょっと待ってね」


 わたしは顔が楽しさから緩まないように気を付けながら、玄関の扉を開けて客人を迎える。


「あら、加藤さん。倫理くんの代わりにエプロン姿でお客さん対応だなんて、なんて腹立たしいのかしら」

「前の飲み会からまだお酒抜けてないんですか?迷惑なんでお帰りください」


 うん、酔っぱらいは呼んでないから帰ってもらおう。せっかくの楽しい気分が台無しだよね。

 わたしはすぐさま扉を閉めて、鍵とチェーンロックを掛けてさっさと台所に戻る。


「あれ?みんな来たんじゃないの?」

「ううん、迷惑な酔っぱらいが家を間違えて来ちゃったみたい」

「へぇ~、そうなんだ」


 そのまま台所に戻ってきたわたしを倫也くんが怪訝そうな顔で見てくるけど、そんな説明をしたらそれ以上何も聞いてこなかった。どうやら自分の作業で忙しくてまともに話を聞く余裕なんてないらしい。

 出海ちゃんと氷堂さんだったら、家に案内するけど、呼んでない酔っぱらいを家に入れると迷惑だし。あと、酔っぱらいの後ろには出海ちゃんと氷堂さんと英梨々がいた気がするけど気のせいだよね。うん、あれはただのそっくりさんだよね。


 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


 わたしが作業に戻ろうとした瞬間、呼び鈴を連打する音が聞こえてくる。まだあの酔っぱらい絡んでくるのかぁ。


「酔っぱらいがしつこいから、ちょっと対応してくるね」

「おう」


 倫也くんに声をかけて、わたしは再び玄関に向かう。……めんどくさいなぁ。


「はーい……」


 さっきより明らかにテンションの低い声で返事をしながら、玄関の鍵を開けるとその瞬間、強い力で扉が引っ張られる。だが、すぐにチェーンロックがひっかかって、ガチャンと大きな音を立てて、扉が開かれるのが止まった。

 チェーンロックかけておいてよかった。危うく酔っぱらいに住居侵入を許すところだったね。


「……加藤さん、このチェーンロック外してもらえないかしら?」

「あの~、今日は酔っぱらいは呼んでないので帰ってもらえますか?」

「酔ってないわよ!!ていうか何で私が酔ってることになってるのかしら!?」


 チェーンロックで僅かしか開かない玄関の扉の隙間から、怒りに顔を歪ませた酔っぱらい……もとい、霞ヶ丘先輩の姿が見える。さらに霞ヶ丘先輩の後ろには英梨々もいて『アンタ、あたしも追い返す気?』みたいな面持ちでわたしを睨んでいる。

 う~ん、英梨々なら入れてもいいけど。


「今日は波島君の依頼で、波島君の代理として私と澤村さんが来ているの。今日は私は呼ばれた人間として来ているの。だから、このチェーンロックを外してもらえるかしら?」

「は……?」


 ……そんな連絡来てませんけど?


「そんなこと知りませんし、聞いてませんけど?」

「あら、だとしても勝手にお客さんを帰すなんて失礼よ?倫理君の代理で対応しているのなら、きちんと倫理くんに許可を取ってもらえるかしら?」

「恵、どうした……って、詩羽先輩!?」


 倫也くんは玄関先での騒ぎを聞き付けたようで、慌てたようにやって来る。そして、霞ヶ丘先輩を見た反応は私と同じで、霞ヶ丘先輩が来ることは聞いてなかったようだった。


「倫也くん、波島くんの代わりに霞ヶ丘先輩と英梨々が来ることになってるらしいんだけど聞いてる?」

「いや、聞いてないけど……」


 倫也くんはスマホを開いて、何やら確認していると、


「うわ……」


 倫也くんは眉間に皺を寄せてめんどくさそうな顔をしながら、スマホの画面をわたしに見せてくる。画面に表示されたメッセージを私は読み上げた。


「『悪いけど急用のため、今日は参加できない。代わりに僕よりいい意見を出してくれそうな人を呼んでおいたからよろしくね』」


 メッセージ送信は数分前。

 ……たぶん、予め二人を呼ぶことを伝えておくと反対されるってわかってたんだろうね。

 ふうぅぅぅぅん?今度から波島くんの扱いをまた考え直さないといけないかなぁ?


「加藤さん、わかったかしら?私はちゃんと呼ばれてきているのよ」

「……わかりました」


 わたしがしぶしぶチェーンロックを外してドアを開けると、霞ヶ丘先輩の後ろに続いて、英梨々、氷堂さん、出海ちゃんが順に入ってくる。


「恵、詩羽を閉め出すのは構わないけど、あたしまで閉め出すことないんじゃない?……って、あんた腹立つくらいにエプロン姿似合ってるわね」

「お~、結婚エンドに向けて予行演習?気が早いね~」

「あ、恵さん、エプロン姿かわいいですね、似合ってますよ!あとでスケッチさせてくださいね!……って、何だかわたしを見る目が怖いんですけど!?」

「悪いのは伊織で出海ちゃんは悪くないからね!?そんなに睨まないであげて!!」

「……は~い」


 わたしは倫也くんに背中を押されながら台所に戻ろうとする。

 ごめんね出海ちゃん。身内だからって、もしかしたら、ついうっかり隠しきれずに顔に出ちゃってるかもしれないね。

 ……はぁ、なんでお客さんが家に入ってくるだけで、こんなに疲れるんだろ?先が思いやられるなぁ……。


「あ、そう言えばお兄ちゃんから恵さんに伝言を頼まれてたんですけど……」


 そばを通り過ぎていった出海ちゃんが振り返って、声をかけてくる。わたしが出海ちゃんの方を見ると、出海ちゃんはびくっと体を震わせ、慌てて目線をわたしから逸らす。何だか、非常に言いにくそうな雰囲気が滲み出ていたので、出海ちゃんを安心させるように声をかける。


「大丈夫だよ、出海ちゃん。波島くんからの伝言なんだから、出海ちゃんのことを怒ったりしないよ?」

「……ついさっき、私のこと思いっきり睨んでませんでしたか?」

「気のせいじゃないかなぁ?」

「本当に気のせいなんですよねぇ!?」


 わたしは睨んでたつもりなんてないからね?まぁ、もしかしたらほんの少しだけ、ごく僅かに、爪の先くらいは漏れ出ちゃってたかもしれないけど。

 はぁ、と出海ちゃんはひとつため息をついて、波島くんから伝言を話し始めた。


「えっと、ですね、『こういったサークル代表が矢面に立つ状況だってあり得ることだ。サークル副代表として感情に流されないように、常に冷静でいること。普段から冷静な振りして、倫也君のことになると簡単に熱くなっちゃうから気をつけるようにしてね』、だそうです」

「ふううぅぅぅぅぅぅぅん?」

「だから、恵さん顔が怖いですって!目がイっちゃってます!わたしを睨まないでくださいぃぃ!」


 ……あの二人を代理で呼んでおいてその言い方かぁ。ちょっと上から目線にも程があるんじゃないかなぁ?やっぱり、波島くんの扱いは考え直さなきゃいけないね。

 ……って、あれ?出海ちゃんがいない?


「出海ちゃんは?」

「……恵が凄い顔して出海ちゃんのこと睨んでたから、逃げてったぞ?」


 倫也くんも言うようにわたしの顔からはちょっとだけ感情が表に出てしまっていたらしい。

 ごめんね、出海ちゃん。後で美味しいお菓子を特別に用意しておくからね。


「じゃあ、倫也くんさっさと準備しようか」

「……お前、あの顔は怖いから本当にやめろよ?」


(次回に続く)

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冴えない主人公の育てかた Depth @Depth

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