2. 出会い
7月。
テスト1週間前ということで、どの部活も活動をしていない。
校内にいるのは、教師と、勉強をするために残った生徒。
いつも校庭から聞こえる部活動の声がないと、一気に
「あっちーな」
8月はどうなってしまうのだろう。
下校時間が近づく校内の見回り担当の俺は独り言を言いながら、ついでに廊下の窓を閉めるのをやめた。生徒たちを帰してから閉めよう。何を考えてもそれが最善だと思った。
期末テストは赤点がかかっているためか、案外多くの生徒が残って勉強をしていた。自分は勉強、嫌いだったな。感心しながらも、時間なので生徒たちに下校を促す。
「あ、小野せんせー!明日のB組の体育なんだっけ?」
「教室で体育祭の種目決め!決まり次第自習にすっから」
秋の体育祭の種目を夏休み前に決めて、2学期が始まったら即練習。しっかりしている学校だ。
「着替えなくていいのラッキー!じゃ、また明日―!」
ここの教室はOK。生徒たちに手を振りながら確認する。
この階は、あとは音楽室か。楽器の音も聴こえないし、音楽室使って勉強する奴なんていないだろうと思いながらも一応向かう。
「うわ、、、」
音楽室の外の廊下の窓はなぜかすべて閉まっていて、むんむんとしていた。来た瞬間に、ここにいるのが苦しいと感じざるを得ず、今更ながらも窓に手をかけたその時だった。
〈ダ――――――――――――――ン・・・〉
音楽室から、ピアノの鍵盤の左側を強く押した音が聴こえた。力強く、しかし儚く。デクレッシェンドをかけるように音は消えていった。
スターチス ちとせ 蓮 @lotus_eternally
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。スターチスの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます