３．１１．東日本大震災 記憶の記録

いま、そして、これから

　わたしは阪神淡路大震災と東日本大震災を経験した。幸いなことに、わたし自身は大切な人を失うことも、住む場所を失うことも、大きな被害にあうこともなかった。

　だが、大震災の苦しみは、今なお多くの人を傷つけている。

　東日本大震災の犠牲者は関連死も含めると1万9638名。それは、「人の死」が1万9638件あったということ。その数倍の人が、大切な人を失った悲しみと苦しみを経験しているということ。

　行方不明の方は2529名。今もまだ、大切な人の帰りを待っている人がいる。

　避難生活をしている方は4万7737名。たくさんの人が、戻れない故郷に思いをはせながら生きている。

　わたしは被災者という立場で人の優しさと助け合うことのありがたさを知った。

　災害の記憶を忘れることなく、今も苦しむすべての人の心に寄り添っていきたい。

　そして、自分には関係ないと思っている人も、いつ、どこで自分が災害に巻き込まれるかわからないということを心に留めておいてほしい。

　その時助けてくれるのは、人の優しさなのだということを。