第21話 オーガ戦 再び

 5層に到達した俺達を待ち受けていたのは3体のオーガ達だった。


「俺が左、ロベルト達が中央で、勇者組が右の1体ずつで良いか?」

「我々は大丈夫です。前回同様に手出し無用でお願いします」

「おう。勇者組は御影がメインで壁役をやって、他の者がアタッカーだ。能力値的には戦えるし、俺がフォローもするから焦るな」

「了解! おっちゃんこそしくじるなよ?」

「誰に言っている。やるぞ」


 俺と勇者組が左右から同時に散開しながら向かい、ロベルトが盾を掲げて、


「掛かってこい!」


 と宣言。

 そこで異常が起こる。俺に向いていた視線がロベルトに向かったのだ。


「どういうことだ?」

「おいおい、逃がさないぞ! って硬って!」


 杉田に軽く斬り付けられたにも係わらず、それを無視して3体のオーガがロベルトに向かう。


「おっちゃん、鑑定!」

「分かってる!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 なし 性別 男 (怒り)

種族 オーガ

レベル 6

能力

 生命力 58/58

 魔力  4/4

 腕力  40+5

 知力  8

 体力  41-5

 志力  13

 脚力  38+5

スキル

 才能 

 技能


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「オーガのやつ、怒り状態になってるな」

「何で急に?」

「ロベルトが原因だと思うが…」


 ロベルトを鑑定及び解析。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 ロベルト・フォート 性別 男

種族 人間

職業 騎士

レベル 14

能力

 生命力 68/68

 魔力  12/16

 腕力  29

 知力  17

 体力  41

 志力  15

 脚力  36

スキル

 才能 剣士の才(3)

 技能 剣術(7)

    防御(2)

    挑発(1)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あいつ、いつの間にか挑発のスキルをゲットしてやがる。

 あれが発動したんだ!」

「それってヤバイんじゃ!」

「ああ。だがな、ロベルトどうする?

 1体貰って良いか?」


 盾で受けるのに必死のロベルトに問い掛ける。

 一応、この場合はロベルトに優先権があるし。


「あなたは本当に悪魔ですか!

 私達が3体同時に相手して勝てるわけないでしょ!

 助けてください!」

「よし、言質取った。最初の予定通りにやるぞ」

「おっちゃんだけ余裕かましすぎじゃない?

 ……別に良いけど」


 呆れている勇者連中を放っておいてオーガを背後から一刀両断に処す。


「ハガッァ!」


 唯一その様をまともに見ていたロランド王子が顎を外しそうなほど大口を開けて奇声を上げるのだった。


「さて、勇者組は。

 ……余裕かな」


 後方から全員で斬り付けてダメージを与えていってる。

 問題は、


「ロベルトは無理かな?

 最初に体勢を崩されたまま立て直せていない。

 せめて、1体になれば、良いんだろうが……」

「勇者がオーガを仕留めるのが早いか。はたまた、ロベルトが一発貰うのが早いか……。

 ……当然ロベルトがやられる方が早いわな」


 勇者の攻撃は硬い皮膚に大部分の勢いを食われている。

 勇者組は硬いだの何だのと文句ばかりを言って戦ってる。


「さて、悪いがロベルト。俺も参戦するぞ?」

「いえ、大丈夫です。もうすぐですから!」

「もうすぐ? ……ああ」


 ロベルト達の割り当てを斬り伏せようとした俺に連中から制止があり、いぶかしむ間にオーガの1体が勇者に向き直る。

 ……挑発が切れた。そしてオーガが反撃してきたことに驚いた勇者が距離を取って構え直す。


「勇者にとってのラッキータイム終了。ロベルト達はよっぽど大丈夫だろうし……。

 俺は先に宝箱開けているから、ピンチになったら呼べよ?」


 そう言って開いた宝箱にはインゴットが6つ。

 鑑定結果は、鉄4、銀2。

 ……外れだった。

 まだだ!

 解析でおおよその値段を!

 鉄1つは銀貨2枚。銀は銀貨6枚、しめて銀貨20枚。

 ……やっぱり外れだった。

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