おいでよ、借金だらけの異世界ドライビングスクール!

@mistel314

1話 借金背負いました

物語というやつはいつも待ってくれないもので、その始まりも急であった。

それもそのはず、綱守は、いきなり10億の借金を背負った。


「なんでさ!」

「決まってます、動機を作るためです。」

「動機ってなんの?」

「いいですか、借金の一つでも背負わないと村に飛び出したり、人助けをしようとしないでしょう?」

「…まあ、確かに。」

「つべこべ言わず、借金返済のため、村にいきなさい!」

こうして綱守は、村へ向かった。


「情報屋ってとこに行けば、仕事がもらえるらしいけど…」

「…きゃあっ、痛いわ!」

「え、急にぶつかってきてどうしたのさ。」

「私は、10億の身代金がかけられている家出少女よ!」

「…はあ。」

「貴方が私を捕まえれば借金を返せるけど、貴方はそうはしないわ。」

「ああ、そうなの、さようなら。」


片手をあげて去ろうとする綱守の肩を掴む、家出少女。

「…あの。」

「あぁ!このままじゃさらわれてしまうわ!」

「助けてくれるドライビングスクールの艦長はいないかしら!」

「字が間違ってるし、助けてくれるってどういうことさ。」


その時物陰から大柄な黒服の男が現れる。

「ヘッヘ、お嬢ちゃん悪い事はしないから俺らと一緒にこい。」

「あぁ、さらわれてしまうわ、でもこの人を巻き込むわけにはいけない!」

「…その手を肩から離してくれれば立ち去るのだがな。」

「おお、兄ちゃん。そいつを渡せば10億やるぞ、さあ渡せ。」

「え?じゃあ、はい。」


ツカツカと黒服の方に近寄る綱守。

黒服は綱守の歩幅に合わせて後ろずさる。


「…く、こいつ。なんて気圧だ…」

「私のことに構わないで!貴方は無関係なのよ!」

「いや、なんなのこれ?」


渾身の力で肩から剥がそうとするが、一向に剥がせない綱守。







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