第4話
魔法騎士団レクツェイア支部の執務室に月明かりが差し込んでいた。
そこで執務に耽っているのは軍服姿の男――グラエムだ。すでに陽が落ちて、夜も更けているというのに筆を走らせる勢いは昼間と全く変わっていない。歳を老いても衰えない体力と精神こそが彼が魔法騎士団レクツェイア支部の騎士団長を務めることができている所以だ。
――コンコン。
扉が二回ノックされる。
「入れ」
無愛想にそう言ってグラエムは入室を許可する。
扉を開けて入ってきたのはグラエムの部下のひとりだ。
「例の物は順調か?」
もはや説明不要というように端的に求める答えだけを訊く。
部下はこくりとうなずいた。
「あの若僧では少々心もとないからな。いざというときのために開発を続けておけ」
部下はもう一度だけうなずいて、執務室を出ていった。
グラエムは不意に立ち上がって窓際へ寄る。
「私にあれを使わせないよう、くれぐれも頼むよ……レオルス」
窓越しに月を見ながら、グラエムは不敵に笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます