神様 どんでん返し
克全
第1話
「何考えている!
人が大切に育てている人間を奪っていきやがって!
窃盗は処罰されると分かっているだろうが!」
「えぇぇぇぇ!
たかが人間じゃないか!
ちょっと借りるくらいいじゃないか。
こっちで生まれたのでかえすからさぁ」
「なに甘い事を言ってやがる!
人間を育てるのはとても難しいんだぞ!
新たな神に転生できる人間を育てるのがどれだけ大変だと思ってやがる!
本当は分かっているから、質のいい人間を厳選して盗んでいったんだろうが!
下手糞なお前が育てた子孫などもらっても代わりになどなるか!
魂を穢された人間を返されてもどうにもならん。
損害はキッチリと神聖で返してもらう!」
「そんな!
これ以上神聖を奪われたら、人間に転生させららえてしまう!
やっと創り上げた世界も失う事になる。
どうか許してくれ!
何でもする。
だから上神に訴えるのは止めてくれ!」
「もう遅い!
既に訴えた後だ!
諦めて裁きを待つんだな!」
「頼む、この通りだ!
どうか訴えを取り下げてくれ!
取り下げてくれるのなら何だってやる。
だから、どうか、訴えを取り下げてくれ!」q
(無駄じゃ。
他の神が新たな神を創り出そうと大切の育てた生命を盗み出すなど言語道断!
盗まれた神が許しても、我ら上神が許さん!
人間に戻って一からやり直せ!)
「うわぁぁぁぁあ!」
(折角大切に育てた命を盗まれ穢され大変だったのう)
「はい、あれだけ清く気高く育った命を盗まれて、気力が折れそうになっていましたが、穢されたとはいっても元がいいので、数世代かければ同程度の魂にまで戻せるかもしれません。
ありがとうございました」
(ふむ、だが礼は早い。
あの穢れ神に対する罰はよいのだが、お主に対する賠償が問題だ。
お主が受けた損害に対して、穢れ神から奪える神聖が少なすぎるのだ。
あればければ賠償に値せぬ。
あの穢れ神が人間として修行を積み、神聖を手に入れるのならそれをお主に渡す方法も取れるが、全く修行を積まず、獣に魂を落とすようなら、奪う神聖もない)
「では、穢れ神が創り出していた世界を貰えませんか?」
(そんな事は容易いが、本当にその程度でいいのか?
穢れ神が創った世界では、新たな神を産み出す魂を育てるのは不可能ではないか?
そんな手間と管理の時間を考えるなら、お主が新たな世界を創り出した方がいいのではないか?
まあそんな事をすれば、お主があそこまで育て上げた魂に対する注意が行き届かなるから反対じゃがな)
「はい、私もそう思います。
それに、私が考える世界では二つ目三つ目も似たようなモノになってしまいます。
それでは新たな神の素になる魂を産み出しても、似た魂になってしまいます。
それくらいならば、私が手を加えるたりしない、自然に任せた世界を作ってもいいのではないかと。
大切に育てた魂が放りこまれた世界です。
私の育てた魂が入った事で、どのような変化を起こすのか見守りたいとも思ったのです。
それに証拠をつかむのに時間がかかってしまって、私が育てた魂と、穢れ神が育てた魂の間に新たな魂が生まれてしまっています。
その魂を穢れ神が創った世界と一緒に消し去るのは辛いのです。
だからといって、私の世界に移して私の世界が穢れるのも困ります。
私の育てた大切な魂を寿命を終えるまでは、穢れ神の世界も管理したいのです。
思いがけずよい魂が生まれるかもしれませんし」
(ふむ。
そう言う事なら渡してもいいかもしれないな。
分かった、お主が大切に育てた魂に子供が生まれているのなら、お主が見守りたいという気持ちも分かる、好きにするがいい)
神様 どんでん返し 克全 @dokatu
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