印象に残った「どんでん返し」

宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり

第1話

印象に残った最初の「どんでん返し」は新書館のclampの「聖伝」の最終巻です。同人誌の頃から追っかけていたので、商業誌完結にまず喜びました。そんな物語の中で、まず持国天のケンダッパオウが一族の復讐に燃えるソウマを帝釈天に殺させない為に、自分で無惨じゃない方法で殺して、自分も首を切り、本音の「好き」という気持ちを伝えて息絶えます。ビックリしました。あんなにファニーな「ソウマはおバカさんなんだから。ぷんぷん」がこんなに壮絶な伏線とは思ってもみませんでした。また六星の定めが天帝を殺した無法者の現天帝の帝釈天を殺して平和を取り返す事ではなく、復活した阿修羅でこの世界を炎獄にする事だとは、思ってもみませんでした。復活した阿修羅に片腕を落とされた後に「助けてあげられなくてごめんな」と言って殺される龍王が、やさしくて、あたたかすぎて泣けるシーンでした。そして復活した阿修羅対帝釈天かとの時に、阿修羅王は夜叉王と戦うことになります。阿修羅の「二人だけの約束」何時までも側にいるよ。を覚醒させた阿修羅と夜叉王は剣をおさめた夜叉王に阿修羅の必殺の一撃かと思いきや、阿修羅は自刃します。二人だけの約束を守るために死にかけの阿修羅は繭を作ってサナギの様に、木々で身を癒し守り続けます。本当の事を知った残された六星の夜叉王は何十年たって変わらず阿修羅の復活を願い待ちます。暴走した阿修羅を唯一止める事のできた帝釈天も寿命でこの世を去ります。そうして文化が滅んでも阿修羅を待ち続ける夜叉王と阿修羅の為に、天帝と血のつながりのあるソンセイ天王の禁断の魔物の子、孔雀が、阿修羅に「おはよう」と言って命を捧げ、阿修羅の封印をときます。目覚めて「孔雀が。孔雀が」という、なんで死ぬんだよと思う阿修羅を見て夜叉王は「二人だけの約束」を守ろうと阿修羅に語るのでした。これが、私の最初に凄いと思った「聖伝」の「どんでん返し」でした。カルラ王は大好きだったのですが、格上の自分の上司ゾウチョウテンに「玩具にされる事」なく殺され、帝釈天の残忍さを改めて思い知ります。 こんなに激しい物語でしたが、とても好きな話のひとつでした。九曜の預言が先代阿修羅王との約束で六星にポジティブなイメージを与えるというやり方で帝釈天と阿修羅を会わせたかったのだという悲しい物語に「どんでん返し」を感じました。沢山の命が殺され消えて行く夜叉王と阿修羅の二人だけの旅立ちは、おそらく一番穏やかで、まともなひどい目に合わない二人だけのモノだと思います。自分を殺す預言の阿修羅を「面白い」と言って部族に引き入れ育てていると、上司の毘沙門天(ラストの吉祥天とのわだかまりがほどけ死にまぎわに両思いと知らされる悲しいどんでん返しを思わせもしない)に見つかり「反逆者」として一族の殲滅をくらい、命が助かったのは阿修羅と夜叉王だけと預言が残酷に回る中、一人ぼっちの阿修羅と一人ぼっちの夜叉王がお互いを求めてお互いをお互いの活きる気力にするという「どんでん返し」につぐ「どんでん返し」の話だなと記憶してます。




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印象に残った「どんでん返し」 宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり @nkomak

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