Memoirs #1

Scene I


「所長——! 見てください、アレを……っ!」


「馬鹿な……」


 地上が『ズレ』始めている。

 私はそれを、新都へ向かう飛行機の中で目撃する事となる。搭乗する飛行機の下方、高度5000メートル付近を境として時空が突然途切れ、地上はその断層の中で真っ白な光に包まれている。

 今、事実を正しく認識しているのは、魔力を感知できる一握りの者だけであろう。

 だがじきに、他の者達もその影響を知るのだ。如何に否定したかろうと、身をもって。


 ——あれは空間を呑み、時間を遡行させる光。


 時は西暦2032年——、奇しくもこの日から旧都の年号は2022年に遡った。




 ——現在、私は2042年の新都より2032年の旧都を観測している。




   ***続く***

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流星の刹那に刻印は叫ぶ 白湊ユキ @yuki_1117

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