侵攻7日目

08:00

A市役所に大量の納豆が納品される。余りに多いので一部をマスコミに差し入れ。これが偽装工作となる。


08:30

納豆バズーカ、200丁も納品。取り敢えず住宅地部隊へ配備開始。配備には市民生協が協力。


09:00

A市攻撃隊長、バズーカを試し射ち。100m先の標的にベッタリと命中。バスツアー客拍手。先のマスコミへの偽装工作、台無し。


09:30

何故かマスコミは一切バズーカに触れない報道を続ける。どうやらA市の味方に付いたらしい。


10:00

ソナー10台がA市漁協へ配備される。小型漁船に搭載し、出航。


10:30

普段の共同購入の食品類とバズーカが、生協により各戸に配達される。


11:30

B市突入隊30人、12:05突入を決め、展開。


11:55

A市住宅地部隊、今日もお昼に呼ばれる。


12:00

住宅地の犬が吠えだし、住民と兵士の箸が止まる。


12:03

犬、吠え止まず、多くの防衛部隊兵員が箸を置き武器を取る。


12:05

B市軍突入。住宅地内において交戦。


12:06

犬のポチを護ろうとしたA市軍兵士、射殺される。


12:07

ポチ、B市軍により射殺されるが、殺された事実に気付かずB市軍兵士に手当たり次第噛み付く。


12:08

ポチの活躍を見た住民の一人、犬を全部放すよう電話連絡網を流す。


12:09

エアガンしか持たないB市軍兵士、納豆バズーカを顔面に食らい即死。それを見た仲間数名、退却を開始する。


12:10

連絡網を受け相次いで犬が放たれる。


12:12

犬とバズーカ、大活躍。B市軍に退却命令下る。


12:20

A市軍、被害状況確認。戦死者2名、戦死犬1名、味方バズーカによる家屋の汚染1件。


12:30

A市作戦本部公報、住宅地戦の事実と結果をマスコミに発表。


13:00

A市長記者会見。戦死者2名、課長へ2階級特進。ポチに市民栄誉賞とビーフジャーキー1年分を贈与。戦死者とポチの葬儀は、翌日10:00より市民会館において市民葬として行なわれることに。無論、戦死者本人も参列する。


13:30

ポチ、一部マスコミにヒーローとして扱われる。


14:00

戦死者2名、民放各局のワイドショーに出演。公務員らしくない愛想の良さが評判を呼ぶ。

「お二人、息がぴったりですね」

との問い掛けに、

「昔、バンド組んでました」


14:30

TVでは、軍事評論家が、今回のB市の突入作戦と両市が使用した武器について解説。各局の評論家、A市のエアガンとバズーカの性能を高く評価。潰れかけ玩具メーカーに問い合わせ殺到。正に起死回生。


15:00

納豆臭いB市軍遺体、A市役所でシャワーを使わせてもらう。


15:30

B市軍遺体、返還。


16:00

ロックフェス会場、この時間に出演予定の大物アーティスト、遅れる。主催者は、時間を繋ぐため、大スクリーンにTV画像を映す。


16:30

ロックフェス会場、観客からブーイングがあがりはじめる。


17:00

B市匿名希望から民放東京本局へ電話。

「30分後、国道検問を突破する」


17:20

日米マスコミ共同、東京からの情報により、A市側からB市国道検問にカメラの砲列を向ける。


17:30

一台の国産大衆車、猛スピードでB市国道上をA市に向け走る。B市軍検問所、装甲車でバリケードを作る。


17:32

検問の200m手前で、大衆車、一旦止まる。


17:33

大衆車、フルスロットルでバリケードに突っ込み大破。車の中からバラの花束を抱えた青年が引きずり出され、B市軍に連行される。ここまでの模様は全てTV中継され、ロックフェスの会場でも様々な憶測を呼ぶ。


17:40

検問突破未遂事件に当初から注目していたA市ゲリラ、青年の連行先までB市軍を尾行。


18:00

A市報道センターに一人の女子大生が来訪。泣きながら喋る。

「さっき連れていかれた人は、私の彼なの。誕生日にバラの花束をプレゼントしてくれる約束だったの」

各社一斉に報道。


18:15

ロックフェス会場に大物アーティストが到着するが、観客はスクリーンの女子大生に見入る。アーテイストも状況を聞き、スクリーンに注目。


18:30

B市内に潜入中のシロネコ偵察隊に、A市長より最優先命令が下る。

「青年を救出し、24:00までに恋人のもとに送り届けること」


18:40

シロネコ偵察隊、ゲリラに作戦協力要請。青年の収容先が、B市中央市民病院と判明。


19:00

A市ゲリラとシロネコ、寝台車で病院裏口から、青年を遺体として搬出することで合意。


19:30

ゲリラ、路上で葬儀社の寝台車をカージャック。本物の遺体が積まれていて一瞬ビビるが、丁重に扱うことで、勝手ながら勘弁してもらうことにする。ばれると拙いので、運転手は同行させる。


19:40

B医大勤務のA市ゲリラ、医者の特権で、日頃懇意にしている業者より、B市民病院の白衣と看護士制服に加え患者服を入手。


19:50

A市シロネコ、B市消防署より救急隊員制服とヘルメットを失敬。


20:00

落ちこぼれながら自衛隊員である、シロネコの二人、青年の病室を特定するため斥候となる。一人は、患者服にスリッパ、点滴スタンドとリンゲル液パックで患者に偽装。もう一人は救急隊員となる。


20:30

B市民病院正面脇に到着したA市斥候、ストレッチャーに「患者」を載せ、本物の救急隊到着を待つ。


20:45

B市内で多重衝突事故発生。


21:00

病院に救急車が次々と到着。斥候、どさくさに紛れ潜入に成功。


21:30

うろうろ歩き回った末に、青年の病室を発見。しかし警備兵が二人、付いている。


21:33

A市斥候、病院内公衆電話より先の状況を小声で報告。


21:50

A市ゲリラ、脳卒中と嘘の119番通報、現場に駆け付けたB市消防、救急車をジャック。「救急隊員四名、患者、医師、看護士大勢」病院へ移動。寝台車部隊も出発。

                                    

22:00

斥候、青年のベッドに通じるナースコールの配線を配線ダクト内で特定。


22:05

A市ゲリラによる救急車、病院に到着。救急隊員と患者が現場を撹乱する間に、「医師と看護士」も潜入。


22:10

斥候、青年以外の患者のナースコール回線を次々と短絡。同フロアのナースは各病室へ向い、ナースステーションは空に。


22:11

青年のナースコール短絡。扮装したA市ゲリラ大勢、空のナースステーション前を通り、病室へ。B市警備兵二名拘束。ベッドに縛り付ける。


22:12

戸惑う青年をストレッチャーに載せ、顔に白い布を被せ「看護士」が裏口へ押していく。他の者はそれらしく振る舞いながら二手に分かれ、寝台車と救急車を目指す。


22:15

寝台車に積み込み成功。横にある本物の遺体に青年、悲鳴をあげる。救急車も引き上げにかかる。


22:16

裏口を出て行く寝台車に対し、病院職員一同、礼。


22:20

両車合流し、西へ向う。途中、寝台車運転手は本物の遺体、車と共に開放。A市シロネコ、ゲリラ全員、敬礼で見送る。以後、一同、救急車で移動。


22:30

市境を越える手立てについて、ゲリラとシロネコが話し合うが、青年の

「もう一度、国道から行きたい」

の一言で、国道正面突破を決める。A市作戦本部に援護を要請。


22:40

ロックフェス会場でA市長が事情を説明し、観客にも援護を要請。この間、NMTVは、自主的に中継を中止。TVには、「ただ今中継回線が乱れています」とテロップが。しかし、市長は、ただ女子大生を励まして欲しいという。NMTV、気を使って損をする。


22:50

ロックフェス会場、ステージに女子大生登場。全員で励ます。


23:00

A市作戦本部、二階建自動車運搬用トレーラーを手配。国道最東部に配置。


23:10

B市側A市ゲリラ、同様のトレーラーをジャック。検問へ向け移動。


23:20

救急車のA市ゲリラ、花屋を叩き起こし、バラの花束を買う。とっさに状況を判断したフラワーアレンジメント命の店主、

「頑張って」

世界で一番の花束が手渡される。


23:30

A市公報、マスコミに作戦をばらす。勿論、全社、報道を自粛。同時にB市軍検問所へカメラの砲列が向けられる。


23:40

ゲリラから事情を聞いたB市側トレーラー運転手、

「俺に任せろ」

ゲリラ、任せてトレーラーを下車。積載されていた車両で帰路に。


23:50

青年を乗せた救急車、検問手前に到着。斥候を買って出た一人と青年以外は下車、重い医療機器も全て搬出。元斥候、ハンドルを握る。


23:52

A市、B市、両方向より、二階後部を最下部まで下げたトレーラーが検問に接近。B市軍、又も装甲車でバリケードを張る。TV、中継開始。


23:54

A市公報、全ての情報を報道センターに提供。ロックフェス会場、スクリーンに注目。


23:55

トレーラー2台、検問を挟み一直線に並びアーチを描く。救急車の元斥候、何故かサイレンを鳴らし、トレーラーへ向けアクセルを踏む。


23:56

救急車、トレーラーからトレーラーへジャンプ。報道センター、各家庭、拍手喝采、ロックフェス会場、万歳三唱。救急車は白バイ隊がロックフェス会場へ誘導。


23:57

B市側トレーラー運転手、ピースサインを高々とかざしながら下車。B軍に笑顔で連行される。この映像にロックフェス会場、惜しみない拍手。


23:58

救急車、ロックフェス会場に到着。青年、花束を抱え飛び降りステージへ向って走る。


23:59

10万人の歓声を背に、青年、花束を彼女に渡す。

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