昭和です。

 パチパチとキーボードの入力の音だけが聞こえる午前中の静かな事務所。

 猛威を振るうお騒がせウィルスの嵐の中、アナログ処理も多い経理だけは当然のように出社必須。受付のはずの総務がリモートワーク中なので、電話対応、来客や納品の対応も何故か経理の仕事になっている。

 ウィルスの流行りだした頃はいる人がやるしかないよねと思っていたけれど、年単位で自分がやるとなると確認したくなる。私、経理だよね?


 大手の会社は担当者からメール添付で送られてくる請求書も、小さい会社はまだまだ手書きが多い。エクセルで作ったと思われる請求書も計算式をぶっ壊している手入力の数字が散らばっていて、合計金額は全く信用出来ない。

 手書きの請求書は数字さえも個性的でそもそも難読。桁点がないものも多数あり。

 複写式の請求書を使っていても数字を記入している枠が違う。なんでだ。

 請求書って合計金額を何度か計算して確認して出すものじゃないのかな。半日やっていると目の中で象形文字みたいな数字が踊りだす。目が痛い。


 そして社内経費の精算もほぼほぼレシート。ここも大問題。

 ポケットに無造作に突っ込んでくしゃくしゃになり、若干消えかかったレシート。それを個人別にまとめて計算するところから始まる月曜日。

 幸せが逃げようが何しようが、もれちゃうため息。

 経費別に分けて、日付順に並べてとか無理は言わないけれど、もう少しきれいな状態で保管しててくれても罰は当たらないと思う。私なら提出する書類にシミとか汚れ、千切れ、シワとか絶対に嫌なんだけど、そう思わない人が多すぎる。うちの会社だけなのか。この汚いレシートたちは。

 

 最近よく見かける某経理精算ソフトのCMでタレントが呟く「昭和かよ…」に激しく同意。CMの中でお願いと差し出される書類が目の前にある書類にそっくりなところが泣けてくる。違うのはその書類を作っているのも私というところかな。


 パソコン前で言うのもなんだけど、昭和です。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ココロのトゲを… 雪花 @sakurayukimaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る