最終話
源蔵と雄治が引き起こした悪夢による暗黒の世界は可憐で気高き勇者、千代と運命により生まれた偉大なる蒼き魔法使い、未希により排除された!
あの日から10日余りで混乱を極めた世界もやがて平静を取り戻し、正常な歯車で規則正しく回り始めた。
意識を失くし拓海とココアに連れ帰られた未希は3日ほど、意識が戻らぬままであったが無事に回復し米粒ほどに小さくなっていた蒼い魔法石も以前より輝きを増した
ばかりか大きくなっていた。
「これは更に強力な魔法を使えるということじゃから未希が魔女にでもなってしまったら世界どころか宇宙の存在さえも危ういのう?」
山神は冗談っぽく言うと拓海に向かって
「浮気は禁物じゃぞ! 塵ひとつ残らぬほどに消されてしまいかねんからのう・・・わっはっはっは」
そう言いながら高笑いする。
「そんなことは絶対にしませんよ」
拓海はそう言いながら微笑む・・・
「私がこの世で一番、大切な人だけを消したりするはずが無いじゃない!・・・私も一緒に消すわ」
未希が笑いながら言うと
「女の嫉妬は怖いからなぁ・・・マジでやりかねないな」
そんな琢磨の言葉に
「花音さんの一言があれば遠慮しないわよ!」
と、未希もやり返す・・・
一同は明るく笑い合い本当の平和が訪れたことを互いに喜び合った。
未来と涼介、孝と樹里、琢磨と花音、未希と拓海、山神とシルヴィアに千代と孝明、結と健、淳一に静香、美月とココア、主だった者が全員、揃ってのパーティーは盛大に盛り上がっていた。
それぞれがふとしたキッカケで繋がり、色んな苦労と悲しみを乗り越え自分たちの力で掴みとった幸せ!
善があるから悪があり、光があるから影がある・・・
この世に合い違える2つのモノがある限り、これからも世界のどこかで争いは起こり続けるだろう?
しかし、強き心と揺るがぬ正義がある限り時代は変えて行くことが出来る。
そんな中で千代は閉ざされてしまった第2の故郷に想いを巡らせ、残して来た多くの仲間たちが幸せに暮らせるようにと心から祈っていた・・・
「あのう・・・千代殿はどこにおられますか?」
その声に気づいた千代が振り返ると、そこには見知らぬ幼い少女が立っていた!
見たことは無いのだがどこかで見覚えのあるような顔をしているし着ている服も時代遅れというか、時代劇ぐらいでしかお目に掛かれない衣装である。
どこかの撮影所からでも訪ねて来たのだろうか?
他のみんなも少女の変わった服装に興味を示したかのように集まって来た。
「千代殿を探しているんですけど知ってますか?」
再び言った少女の顔を見て千代は驚いたような表情で
「私が千代よ! あなたはクラリスの子供なんでしょ!?」
叫ぶように言うと
「一体、どこからこの世界に迷い込んで来たの?」
続けざまに質問した。
「呂布の城を片付けていたら大きな扉が出て来たので開けてみたらこの近くに出て来たんです・・・」
千代をみつけられて嬉しかったのであろう?
涙声でそう言った後に
「私たちは伝説の王である千代殿の力を必要としているのですが、どうか助けて頂けませんか!?」
遂には泣きながら千代にすがりついた。
「行かぬわけにはいかんじゃろうて? 宴会はお開きにして我らも一緒に行こう!」
山神がそう言うと
「たとえ相手がどんな奴でも私の魔法で消してあげるわ」
未希が山神に続いて言い放つ。
その言葉に頷いた千代は
「すぐに助けに行きます! さあ、案内して頂戴」
力強く、言うと少女の手をしっかりと掴んだ・・・
紅い稲妻と呼ばれし伝説の王の復活である。
いつかまた冒険の旅が始まるまで・・・「END」
「蒼き魔法使い」 新豊鐵/貨物船 @shinhoutetu
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