拡散メガ粒子ウイルス
渋谷かな
第1話 カミングアウトの種
「世界中にウイルスを拡散させるのだ! 世界に不幸の種をバラ撒くのだ!」
悪の科学者ドクターウイルスの掛け声と共に、助手がボタンを押しウイルス研究所からウイルスが、たんぽぽの種の様に飛び立っていく。
「これで世界は救われる! 地球を私利私欲で汚染して破壊している人間は滅びなければならない! なんの罪もない子供たちの明るい未来のために! そのためなら私は悪にでもなろう! 全ての罪は私が受けよう、全てを終わらせた後にな!」
殺人ウイルスを生み出すので悪の科学者と思われがちだが、ドクターウイルスは孤高の本当の世界平和を願う科学者である。
「さすがです! ドクターウイルス! あなたこそ真の科学者だ! あなたこそがノーベル平和賞を受ける価値のある人物です!」
助手はドクターウイルスの志の高さに忠誠を誓っている。
「ありがとう。助手の君が認めてくれるだけで、私は生きていける。」
「そ、そんな!? 私はただ思ったことを言っただけです。」
ドクターウイルスと助手の間に恋愛のような心理がある。
「ドクターウイルス。アメリカのホワイトハウスやフランスのエッフェル塔にウイルスが到着しました。数億という人類が新型コロナウイルスに感染することでしょう。」
「素晴らしい。我々の放った平和の種が地に根付き花を咲かせるのだ。そのために金欲にまみれた腐った政治家やお金持ちは抹殺せねばならない。」
「はい。ドクターウイルスのおっしゃる通りです。」
「そんなに言われると照れるな。私は小さな女の子の呼びかけに大人として答えただけだよ。「お金儲けのために地球を汚染するなと、未来のきれいな地球を返せ!」という呼びかけにな。」
小さな女の子が環境汚染問題で世界の政治家たちに問いかけた。しかし権力者の答えは、女の子の助けを求める声を子供の戯言だとして無視して、地球を腐らせ続けている。
「大人として私は恥ずかしい。小さな女の子の泣き叫ぶ声を踏みつぶす傲慢な権力者たちが。」
「私もです。ドクターウイルス。」
テレビのニュースには、新型コロナウイルスに感染者数が5億人という臨時速報が流れる。
「そうか? そろそろ我々の出番かもしれないな。助かりたければ、ウイルスの抗体を持っている我々の軍門に降らなければならない。もし、それが嫌なら全人類は滅亡するだろう。生き残れるのは世界の平和を望むものだけ。人々の幸せを願う者だけだ。」
「素敵です! ドクターウイルス!」
助手はドクターウイルスにほの字である。
「ドクターウイルス! もしも世界の人間が滅びて、私たちだけが生き残ったら、私の願いも聞いてくれますか?」
「なんだいって見たまえ。」
「私はドクターウイルスと結婚したいです!」
勇気を出して告白する助手。
「え? おまえ男じゃないの?」
「男ですが何か?」
「私に、その手の趣味は無いのだが?」
「私は気にしません! 相手がドクターウイルスなら私を好きにして下さい!」
「断る。」
「そんなこと言わないでください! 私もウイルスに感染したんです! 恋のウイルスに! アハッ!」
ウイルス作品4作目である。不正もしていないし、人もいないのでまったくアクセス数はないのだが・・・・・・。
終わる。
拡散メガ粒子ウイルス 渋谷かな @yahoogle
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。