百合籠

寺村 奏

第1話 新生児連続殺人事件


この5年間警察が注目視している事件がある

(新生児連続殺人)5年間の間に4人もの小さい命が消されてしまった。犯人は多分その子達の母親であろう、どうして自分の子を殺せるのか痛い思いをして産んだであろう我が子を、殺すのならなぜ産んだ?堕ろすお金が無かったから?育てる自信がなかったから?いくら考えても犯人の手立ては見つからないし犯行理由も見えてこない。


「何難しい顔してるんだ~?考え事か?」

少しタバコの匂いを纏わせた大柄の間野警部が私の顔を覗き込んできた


「ちょっと考え事をしていました」


どれどれと私が目を通していた書類を手に取る


「新生児連続殺人か·····もう5年になるのに犯人の手掛かりは全く掴めないしな...唯一分かってる事は殺したのは母親って事だけだもんな」


「はい·····どうしてこんなことをするのか私には分かりません。それにまた犠牲が出る前に早く犯人を逮捕しなければ」


「そうだな。明日もう一度現場に足を向けてみるか?それにしても森国はこの事件に関しては人一倍熱心だな」


間野警部の言う通り私はこの事件に1番真剣だった。ただの諸事情だと思われるかもしれないが私は残念ながら子供に恵まれなかった20代の頃に子宮癌を患いもう子供を産めることは無い。我が子の可愛さは自分の友人を見てきてどれほどの幸せを与えてくれるか私は知っているから。犯人に対して個人的に少し恨みを持っている子供に沢山恵まれているのにそれを自ら消すなんて世の中どれくらい欲しくても産めない人がいるのかと。


「私には理解し難いので。自分の子供を殺めるなんて、それに真相を知りたいですしほっておいたらこのまま犠牲者が増えるのは目に見えています。」


「そうだな。きっとこれから先もずっと反抗を犯していくだろう。とりあえず明日もう一度よく調べて見よう何か見落としが無いか」


「はい!なにか手がかりがあればいいんですけどね·····」


そうだな·····といいながら間野警部はタバコを吸いに行った。

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