72 もうずっとステイホームで良いんじゃないだろうか

「常々、俺は思っている。桜子をつねりまくりたいと」


「も、もうしているでしょうがああああああぁ……んっ!」


「どうしたの? そんな風にエロく悶えて?」


「あ、あなたが私をいじめりゅうううううううぅ……あはっ、はッ!」


 桜子はベッドの上でビクビクと震えている。


「……よし、完了だ。俺流ピンポイントマッサージが終わったよ、桜子」


「はぁ、はぁ……えげつなすぎ」


 ベッドに仰向けになっている彼女はそう言った。


「でも、胸の突先は攻めなかっただけ、優しいだろ?」


「ま、まあね。そこを攻められていたら、たぶん私の絶叫がご近所にも響いていたわよ」


「俺はそれでも良いけどな」


「い、嫌よ。もしそんな声を聞かれたら、これからご近所さんに合わせる顔がないわ」


 ちなみに、今は桜子の部屋に来ている。


「そういえば、俺たちが初めてエッチしたのって、この部屋だったよな」


「何よ、いきなり」


「いや、懐かしいなって。けど、今思うと結構スパンがあったよな」


「え?」


「ほら、2年の春に付き合い出して、エッチしたのは夏休みだったろ?」


「そうだったわね」


「あの頃の俺たちは、もっと純情だったよな。それが今は、毎日のようにエッチなことをして……受験生のくせに」


「だ、だって、光一が……私をその気にさせまくるんだもん」


「別に俺は誘っていないだろ? お前が『欲しい、もっと光一が欲しい』……って言うから、仕方なく」


「うるさいわよ……変態」


「変態に変態って言われたくないよ」


「はぁ~、あなたって本当にウザい男ね」


「じゃあ、別れようか?」


「別れる……くらいなら、ぶっ殺す」


「おっ、新しい返し。成長したな、桜子」


「うっさいわよ」


「おっぱいも、成長したし」


 つんっ。


「あんっ♡」


「ほら、また可愛い声が出た」


「そ、そんなに可愛いって言わないで……」


「桜子かわいいよ桜子」


「はうううぅ……」


「こんな素敵な子を産んでくれたご両親に感謝だな」


「くうううぅ……」


「俺、もうお前がいないとダメなんだよ、桜子」


「うああああああああああああああああぁん!」


 ビクン、ビクン。


 桜子は背中をのけぞらせて震えた。


 そして、またコテンと横になる。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……こ、光一。あなたはどこまで高みに昇れば気が済むの?」


「昇ったのは桜子だろ?」


「あぁ、どうしよう。この男が憎いほど愛おしくて殺したい……」


「良いよ、殺せよ」


 俺は桜子にコンパスを渡す。


「その針でブスっと俺の目ん玉なり、喉笛に刺せば、イチコロだぜ?」


 桜子は渡されたそれをじっと見つめて、また俺を見た。


 そして、起き上がると、コンパスを振り上げた。


 そして、背後の壁に強く突き立てると、ギギギと何やら文字を書く。


 俺は黙ってその光景を見つめていた。


「……へぇ」


 そこに刻まれた文字は、『光一を愛している』だった。


「重いなぁ」


 また怒られると思ったけど。


「それが私よ」


 桜子はどこか誇らしく微笑んで言う。


「だな」


 俺は桜子を抱き寄せる。


 コンパスを遠くに放り投げてから、彼女をベッドに押し倒す。


「俺をマジで興奮させたんだから、覚悟しておけよ?」


「昇らせて……あなたの手で、どこまでも」


「口とかも使うよ?」


「バカ……」


 俺と桜子は、その後、いつもより優しく、けど激しく重なり合った。







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