65 新しい刺激

 休日。


 同じ3年生のみんなが受験勉強に励んでいるであろうこの時。


 俺は家でひたすらにパソコンを打っていた。


「よし、今日の記事はこんなもんで良いか」


 俺は性のお悩み相談ブログを更新していた。


「やだもう、素敵」


 一息つこうとした時、となりからそんな声が聞こえる。


「……ていうか、何でいるの?」


 俺は桜子に言った。


「だって、だって、仕事をしているカッコいいダーリンを間近で見たかったんだもん」


「いや、まだ仕事って呼べるほどじゃないから」


「でもでも、カッコイイの~」


「ありがとう。けど、お前の勉強は良いのか?」


「大丈夫、模試の結果は良好よ」


「へぇ」


「何かご褒美はない?」


「ご褒美ねぇ……」


 俺はチラ、と桜子の豊かな胸に目が行く。


 おもむろに鉛筆を手に取った。


「あっ」


 平らな方で、ぐりぐり、と桜子の胸を押す。


「んっ、あっ……ちょ、ちょっと」


「やっぱり、好きだなぁ。お前のエロ乳」


「エ、エロ乳とか言わないで」


「けど、実際にエロいだろ? こんなに大きくて、おまけに敏感だし」


「あっ……だ、だって、光一が嫌らしく攻めるから……」


「じゃあ、やめようか?」


「……続けて?」


 頬を赤らめて言う桜子が可愛いものだから、俺はさらに鉛筆でグリグリとする。


「んっ……あっ……」


 時には変化を付ける。


 微妙な強弱を咥えるだけで、桜子の悶え方もまた違う。


「はんッ……あッ……き、気持ち良い……」


「気持ち良いとか言うな、バカ」


「だ、だって……う、上手いんだもん」


「あ、そうだ。ちょっと試したいことがあったんだ」


「試したいこと?」


「今度は胸じゃなくて……」


 俺は鉛筆を桜子の顔に向けた。


「ちょっ……」


 ぐっ。


「……あっ」


 頬骨の近くを押された桜子はまた声を漏らす。


「凝りがある所って、適度な力で刺激されると気持ちが良いんだ。人間の頬骨の辺りって、思った以上に凝りがあるからさ。こうやって……」


 コリコリっ。


「んっ……やぁ」


「痛いか?」


「う、ううん……これも気持ち良い」


「そうか。じゃあ、続けるな」


 俺はまた強弱を付けながら、桜子の頬骨をぐりりとする。


「んあっ……何で、こんな天才的なことを思い付くの?」


「天才と言うか、変態なだけだよ」


「ついに認めるのね」


「今さらだろ。それに、お前も変態だからな」


「ち、違うもん。光一のせいだもん」


「へぇ?」


 ぐりり。


「あッ……!」


「ごめん、ちょっとムカついたから、お仕置きな」


「ひどい男……」


「それにしても、きれいな顔だな」


「ズキュン……な、何よ、急に」


「キスしても良い?」


 返事を待たない内に、俺は桜子にキスをする。


 軽く舌を絡ませただけなんだけど……


「……はぁ、はぁ……お、溺れる」


「何に?」


「光一さんのキスで……」


「前から思っていたけど、その『さん』付けって良いな。『さま』付けよりも興奮するよ」


「そうなの?」


「うん。何か奥さんみたいだよ」


 俺が言うと、桜子は目を丸くして赤面した。


「お、奥さん……」


「桜子さんは俺の奥さんだろ?」


「ま、まだ違うもん……」


「へえ、そんな意地悪なこと言うんだ?」


 ぐりりッ。


「んッ、あッ!」


「ほら、言えよ。光一さんって」


「こ、光一さん……」


「桜子さん」


「わ、私のことは呼び捨てで良いわよ。さん付けされると、何かバカにされているみたいだし」


「まあ、実際にそういう場面で使っているからな」


「はぁ?」


 桜子さんが軽く怒りそうだったので、


 ぐりぐり、と。


「んああああああああああぁん!」


 桜子は叫んだ後、桜子はコテッと倒れて俺の膝上に頭を置く。


「よし、今日は俺が耳そうじをしてあげるよ」


「いや、遠慮しておくわ。あなたに任せると、何をされるか分かったものじゃないわ」


「大丈夫、優しくするよ……ふっ」


「うひゃああああああああああぁん!」


「相変わらず、良い声で鳴くな」


「も、もう、バカぁ!」


 で、結局……


「……あっ、耳そうじも上手い」


 桜子さんは喜んでくれた。







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