53 健気に尽くしてくれる妻にいたずらをする夫の構図

「あ、そうだ」


 今日は桜子の部屋で一緒に過ごしていた。


「どうしたの?」


「ちょっと頼みがあるんだ」


「良いわよ、光一の頼みなら何でも聞いてあげる。今すぐに死ねって言われたら死ぬわ」


「久しぶりにヤンデレかますな。違うよ、もっとラブいことだ」


「何それズキュン」


「耳そうじをして欲しいなって」


「マ、マジで……」


「いや、何でお前がそんなに興奮するんだよ」


「だ、だって、いつもは私の方が穴に突っ込まれているのに、今日は光一の穴に私が突っ込むんでしょう? はぁ、はぁ……」


「よし、帰るか」


「あ~ん、冗談よ! 卑猥な発言をしてごめんなさ~い!」


「嘘だよ。お前がどうしようもないエロ女だってことは承知済みだ」


「一体、誰がここまで開発したと思っているのよ?」


「俺様だな」


「俺様とか……ゾクゾクしちゃう」


「じゃあ、まずは膝枕からだな」


「どうぞ、ダーリン♡」


 ぽふっ。


「あっ」


「おい、彼氏の頭を乗せたくらいで感じてんじゃねえよ」


「だ、だって……」


「ほら、四の五の言わず、さっさと耳そうじをしてくれよ」


「わ、分かりました」


 桜子は耳かきを手に持つ。


 それから、スッと俺の耳に入れた。


 カリ、カリ、と耳かすをこそぎ取って行く。


「んっ……おぉ」


「ど、どうしたの、光一?」


「いや、上手いなと思って」


「本当に?」


「ああ。エッチは下手くそなのにな」


「ぶっ殺すわよ?」


「冗談だよ。まあ、例えお前がド下手でも、俺がカバーするから良いじゃん」


「でもでも、愛する夫を満足させたいんだもん」


「バカな女だなぁ」


「バカとは何よぅ」


「あっ……そこ、気持ち良いな」


「ここかしら?」


「んっ……良いねぇ。自分の妻に耳そうじをしてもらうのは最高だな」


「うふふ」


「けど、一つだけ不満があるな」


「何かしら?」


「お前の下乳を眺めることが出来ない」


「バカな男」


「あ、でも。反対側を向く時にちょっと拝めるな」


「じゃあ、どうぞ」


「おっ、久しぶりに見たけど、やっぱり良いな~」


 ツンツン。


「あんっ。こ、こら」


「ははは、許せ。これも夫婦の戯れよ」


「もう、あなたと居ると気が休まらないわ。ほら、早くこっち向いて」


「へいへい」


 俺は先ほどと反対側の方を向く。


 桜子の乳は拝めないけど、腹はじっと見ることが出来た。


「あれ、桜子」


「どうしたの?」


「ちょっと太った?」


 束の間、静寂が訪れる。


「……やっぱりぶっ刺そうかしら。鼓膜、潰しても良い?」


「いや、待て。それはダメだ」


「命乞いをしたって無駄よ?」


「だって、そんなことをしたら、綺麗なお前の声が聞えなくなる」


「ズキュン……じゃあ、やめます」


「チョロい女だな」


「は?」


「何でもないよ」


 ぷにっ。


「や、やめてちょうだい。手元が狂って、本当に鼓膜が破れちゃう」


「あ、面白いゲームを考えた」


「何よ」


「俺が桜子の腹をくすぐって、桜子はそれに耐えつつちゃんと俺の耳そうじをする。手元が狂って俺の鼓膜を潰したら終了な」


「あ、あなたこそ、ドMなの?」


「たまにはそれも悪くないだろう」


「へ、変態だわ……」


「どうする? 俺はやる気マンマンだぞ?」


「光一がそう言うなら……」


「じゃあ、ゲームスタートな」


 俺は早速、桜子の腹を弄る。


 ぷにっ、くりっ。


「んっ、あっ……」


「エロい声だな。その声をずっと聞きたいから、俺の鼓膜をちゃんと守れよ?」


「わ、分かってるわよ……」


 桜子は少しばかり声を震わせつつ、耳そうじを続ける。


 俺は自分の鼓膜の心配をよそに、桜子の腹の探求に夢中だった。


「クビレ、良いな」



 ススス……


「はっ……ダ、ダメ……そこは」


「ダメと言われても、この素晴らしいラインを撫でずにはいられない」


「バ、バカ……あっ」


 上から桜子のなまめかしい吐息が落ちて来る。


 俺は指先で桜子のへその辺りをなぞっていた。


 ゆっくりと、円を描くように。


「んっ……」


「良い反応だ。前に開発しておいて良かったよ」


「さ、最低……あっ」


「けど、おへそはデリケートな所だから。大切に扱わないとな」


「あっ……優しいの、嬉しい」


「甘えん坊だな、桜子は」


「だ、だって……」


 耳かきを置いた。


「……はぁ、はぁ」


「うん、スッキリしたよ。ありがとう、桜子」


「あ、あねたはスッキリしたかもしれないけど……私のこのムラムラはどうしてくれるの?」


「自分で処理すれば?」


「ひ、ひどい……」


「嘘だよ」


 俺は桜子を抱き寄せると、額にキスをした。


「……光一」


「今日はゆっくり、リラックスしてやろうか」


「……はい」


 俺は桜子を優しくベッドに寝かせた。







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