44 修学旅行の夜に、彼女とチャHる

 初日は京都の歴史を学ぶための勉強がメインだった。


 まぁ、修学旅行だし。


 お楽しみは2日目の京都、3日目の奈良での自由行動となっている。


 スケジュール的には2日目の夕方前に自由行動から戻って奈良へ移動してそのホテルで宿泊。


 そして、3日目はお昼過ぎくらいまで自由行動。


 その後、新幹線で帰って解散と言う流れだ。


「おい、春日」


 同じ部屋の男子に声を掛けられる。


「何だ?」


「ボケっとしてないで、女子の部屋に行こうぜ」


「え? 面倒だろ」


「バカ、お前! 修学旅行の夜はいつの時代もハイテンションナイトだろうが!」


「そうだ、そうだ!」


「あ、分かったぞ。こいつ、彼女と二人きりで会うつもりだなぁ?」


「昼間も散々、イチャイチャしていたしなぁ!」


 男子たちが一斉にやっかむ。


「俺もあいつも修学旅行の委員だから。そんなことはしねーよ」


「何だよ、真面目かよ」


 男子たちはつまらなそうに口を尖らせ、


「じゃあ、俺らは女子に部屋に行くからな。後で仲間に入れてって言っても入れてやらないぞ?」


「はいはい、さっさと行けよ」


 俺が半ば面倒そうに追い払うと、アホ男子どもは部屋から出て行った。


「ん?」


 スマホにLINEが届く。


『今、何しているの?』


 桜子からだった。


『部屋で休んでいる』


『光一は他の男子と一緒に女子の部屋に行ったりしないの?』


『ああ。先生に見つかったら面倒だ。下手をすれば、自由行動も制限されちまう』


『そうよね……でも、せっかくの修学旅行の夜だから。光一と密会したいな』


『まあ、その気持ちも分からんでもないが……』


 俺はふと、思い付く。


『じゃあ、このままエッチな会話をして楽しもうぜ。そうすれば、ノンリスクだろ』


『えっ?』


『じゃあ、お名前をどうぞ』


『は? 何を言っているの?』


『良いから、俺の質問に答えろよ』


『は、はい……東条桜子です。陽光学園の2年A組に所属しています』


『身長と体重は?』


『し、身長は162cmです。体重は……ゴニョゴニョ』


『おい、答えろ』


『ご、52kgです』


『健康的だな』


『う、うるさい』


『じゃあ、スリーサイズは?』


『な、何でそこまで?』


『お願いだ。読者も望んでいる』


『何の話よ!?』


『桜子さん、観念しろ』


『う~……上から92・60・90です』


『胸のカップ数は?』


『あ、Iカップです』


『そうか、デカいな』


『う、うるさい!』


『ちなみに、尻もちゃんとデカいのは高評価だよ。まあ、全部知っている情報だけどな(笑)』


『ぶっころ』


『落ち着けって。お詫びに、俺のサイズも教えてやるよ』


『何のサイズよ? あなたの身長や体重は基礎データとして既にインプット済みよ』


『まず、平常時が……』

 

『ちょっと待った!』


『何だよ?』


『それはきっと……読者も望んでいないわ。あと、たぶんアウトよ』


『何の話だよ。意味不明な女だな』


『ぶっころ』


『まあ、良いや。で、俺のどこが好きなんだ?』


『マジでクソったれな男ね』


『ほらほら、早く言えよ。じゃないと、別れるぞ』


『そんなの嫌だ! えっとね、まず顔がかっこいいし、髪型もかっこいいし、ドSな所もかっこいいし、何よりエッチの時が一番かっこいい♡』


『ベタ惚れじゃねえか。重すぎる。やっぱり別れよう』


『何でよおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!』


『うわっ』


『お願い、捨てないで。私、光一がいなくなったらもう……死ぬ』


『分かった、落ち着け。冗談だよ』


『ぐすん、本当に?』


『当たり前だ。お前ほど最高の女はこの世のどこを探しても他にいないからな。俺にとっても、お前だけだよ、桜子』


『……やばっ、鼻血が』


『ホテルのベッドを汚すなよ』


『んっ……はぁはぁ。光一さま、エッチがしたいです♡』


『ハハ、無理だろ』


『やだやだぁ! 光一と修学旅行の夜にドッキドキのエッチがしたいの~! もう乗り込むから! 今すぐそっちの部屋に乗り込むから!』


『落ち着け、桜子さん』


『これが落ち着いていられるもんですか!』


『安心しろ。直接会わなくても、お前を満足させてやる』 


『へっ?』


『体の繋がりなんて無くたって、心が繋がっていれば……な?』


『こ、光一……うん、分かった。あなたに任せる』


『じゃあ、まずはお口を開いて』


『うん』


『自分の指を咥えろ。目の前に俺がいると思って、物欲しそうな顔でな』


『……んっ、ちゅぱちゅぱ』


『効果音はいらん。集中しろ』


『は、はい』


『それから、もう片方の手で乳を揉め』


『んっ……あっ……これ、何かすごい……本当に、光一にされているみたいで……ゾクゾクする』


『ちなみにだが、桜子』


『あんっ、はっ……何よ、光一。盛り上がって来た所なのにぃ』


『お前の部屋の女子たちはどうしたんだ?』


『他の女子の部屋に行ったわよ。そこで男子たちと遊ぶんだって』


『そうか。いや、もし他の女子にお前の醜態を見られたらと思ってな』


『ふふふ、大丈夫よ。みんな盛り上がっているから戻って……えっ』


『おい、どうした?』


『……何か、先生に見つかったみたいで。男子たちはこってり絞られていて、女子は各自の部屋に戻って来たんだって』


『へえ、で?』


『だから、その……うわああああああああああああぁん!』


 俺はスマホをそっと枕元に置いた。


「……よし、桜子さんの泣き顔をオカズにするか」


 先生のお説教は長いだろうから、時間はたっぷりとあった。







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