36 もしやそこから、女の無限の宇宙は始まっているのかもしれない

 怒涛の体育祭の次は、文化祭が控えていた。


 ちなみに、我らが2年A組の出し物は『お化け屋敷』である。


 まあ、喫茶店と並んで定番だろう。


 ちなみに、俺もちょっとしたゾンビ役で出演する。


「心が腐っているあなたは、肉体も腐ってしまったのね。可哀想に」


 自分の彼氏を堂々と罵倒するお前こそ心が腐っていると言ってやりたい。


「ねえねえ、桜子ちゃん。桜子ちゃんの衣装も出来たよ~」


 衣装係の女子がニコニコしながらやって来た。


「うっ……」


 桜子は少し顔を引きつらせた。


「あー、そういえば。桜子もお化け役をやるんだったな~」


 俺は軽く口の端を釣りあげて言う。


「そうだ、桜子ちゃん。せっかくだから、彼氏に衣装チェックをしてもらいなよ」


「えっ? い、良いわよ、そんなの」


 拒否する桜子の肩にポンと手を置く。


 振り向いた彼女に対して、


「じゃあ、行こうか。桜子さん」


「こ、光一……」


 桜子は俺のことをギリと睨む。


「ひゅ~、ラブラブだね~」


「あたしも彼氏が欲しい~」


「イチャラブしたい~」


 女子たちに茶化されて桜子は顔を真っ赤に染める。


「い、行くわよ!」


 桜子は俺の手を引っ張って教室を出た。


 廊下を二人で歩く間、すれ違う生徒たちから好奇の目を向けられるが、桜子はそれに構っている余裕などないようだった。


 そして、適当に空いている教室に入った。


「はぁ、はぁ……」


 桜子は衣装係から受け取ったそれを抱えたまま息を切らしている。


「で、こんな所に連れて来てどうするつもりだ?」


「分からないわ……とっさのことで」


 桜子は言う。


「全く、仕方のない女だな」


「う、うるさいわね」


「じゃあさ、今ここで着替えてよ」


「えっ……い、嫌よ」


 桜子はぷいと拒絶する。


「何でだよ? 衣装係もそのつもりで渡したじゃんか」


「黙りなさい、この変態」


 桜子が尚も反抗的な態度を取るので、


「おい、桜子」


 俺は少しだけ声に重みを持たせて言う。


 すると、彼女がピクリと反応した。


「まさか、俺に無駄足を踏ませた、なんて言わないよな?」


「な、何よ……分かったわ。着替えるから、ちょっと出て行ってくれるかしら?」


「断る」


「は?」


 桜子は目をパチクリさせた。


「俺の目の前で着替えろよ」


 俺はドカッとそばにあった椅子に座って足を組む。


「ほら、どうした? 早く着替えろよ」


「マ、マジで言っているの?」


「良いだろ? お前の裸なんて腐るほど見て来たんだから」


「ム、ムカつく男ね……自分の発言が最低だって分からないの?」


「ああ、そうだ。俺は最低のクズ野郎だ。だから、可愛い彼女の生着替えが見たいんだ」


「か、可愛い……って、そんな甘い言葉に引っかからないわよ!」


「とか言いつつ、スカートを脱ごうとしているじゃないか」


「こ、これは……うるさいわね!」


「うるさいのはお前だよ。さっさと脱げよ」


 俺が言うと、桜子はきゅっと口を引き結ぶ。


「……わ、分かりました、光一さま」


「さま付けとか良いから、さっさとしろよ」


「は、はい……」


 ようやく従順になった桜子はスカートを脱いだ。


「ていうか、普通は上から脱ぐだろ。下からとか、変態かよ」


「お、お黙りなさい!」


「まあ、そんな所も可愛いけどな」


「ズキュン」


「出た、可愛いやつ」


「う~、本当に何でこんな男に惚れちゃったのよ~……」


 桜子は半べそをかきながらも、スカートを脱いで、それからブレザーも脱いでブラウスのボタンを外して行く。豊かな胸の谷間が露わになった。


「しまった、メジャーを持ってくれば良かったな。今ここで、お前の現状のスリーサイズを計りたかったぜ」


「そ、そんなことしなくて良いわよ!」


「まあ、いつでも機会はあるから良いか。お前が俺の女である限り」


「本当に最低ね。死ねば良いのに」


「じゃあ、殺してくれよ。どうせ死ぬなら、愛するお前に殺されたい」


「ううぅ……す、好きぃ」


 桜子が泣き出してしまったので、俺はため息を漏らして立ち上がる。


「ごめん、苛め過ぎた」


 俺は桜子に歩み寄る。


「じゃあ、俺も脱ぐの手伝ってやるから」


「は? そこは優しく自分の制服とか羽織らせる所でしょうが……」


「悪いな、俺はそんな紳士じゃないんだ」


「知っているけど……」


 何だかんだ抵抗しない桜子のブラウスのボタンを全部外した。


「おぉ、前はおっぱいを探求したけど。このクビレも探求したいなぁ」


「ま、また今度にして。ここは学校なんだから」


「大丈夫、カギは閉めてあるから」


「い、いつの間に……本当に最低の男ね」


「おへそ指でなぞって良い?」


「ダ、ダメ」


「周りなら良い?」


「ダメったらダメ!」


「そっか、分かった」


「分かってくれれば……ひゃうぅ!?」


 頷きつつ、俺は指先で桜子のへそ周りをつー、となぞっていた。


「こっ、光一、やめなさ……んひゃあん!」


「しっ、静かに。誰かが来たらバレる」


「だ、誰のせいだと思って……ふひゃぁん!」


「なるほど。下手をしたら、桜子のカラダの中で一番敏感な所かもしれないな」


「な、何を冷静に分析して……うきゅうううううううううううぅん!」


「へぇ、美人はおへそまできれいなんだな」


「ほ、褒めたって嬉しくないんだから!」


 それからしばらく、夕陽が差し込む教室で、桜子のおへそで遊んでいた。







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