(エピローグ)〜光は、繋がり続いてく〜

「さて、僕のお話はこれでおしまいだ。最後まで聴いてくれてありがとう」




 そう言って、その人は笑った。


 ちょっぴり照れの混じった、切なく優しい笑み。




「このお話を聴いた君がどうするかは任せるよ。誰かに教えてでもいい、君ひとりに留めるでもいい。僕はね?ただ、ひっそりと街を守った彼女達が生きた証を思いを残したかっ……」






 と、城壁の向こう側、草花のそよぐいくつもの丘が並ぶ風景を眺めていたその人が、不意に言葉を切った。






 不思議に思って「あなた」はその人の視線の先を追う。








 すると、


 街から続く道の側にある、少し遠くの丘の一つに小さく人影とが見えた。








「ああ、そうだね。あの娘も確かに彼女達の思いだ。ふふふ、やっぱり『あの娘』は彼女達の娘だね」




 そう、今度は心から嬉しそうにその人が微笑んだ。


 そして、「あなた」の隣で、今まで足を投げ出して座っていた鐘楼の欄干の上でに立ち上がると




「よし!せっかくの彼女の門出だ、僕も一仕事頑張ろうじゃないか」




 アイボリーの風合いの不思議な雰囲気を漂わせる衣服の裾をふわりと翻しながら、背後の鐘楼の中に飛び込んだ。




 不思議な蒼い光を見つめていた「あなた」はその人の金の腕輪がシャラリと視界の端で揺れるのを見て、すぐに背後を振り返ったが、














 そこには「あなた」の他に誰もいなかった。




















 その時、昼を告げる時計台の鐘が鳴り出した。




  その音は、今日はどこか喜びに溢れているような、誰かの祝福しているような音に思えた。



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時計台で小さな光のお話を。 シナ(仮名 シナ) @sina-5313-

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