オレオレ詐欺

蛙鳴未明

オレオレ詐欺

 トゥルルルル。トゥルルルル。ピッ。


「はい。」


 あ――オ――ヅー――レオ――ヅージジッ――最――ジージー――ど――


「はい?何て?」


 ピーッ。ツーー


「あ、あ、あー。もしもし?もしもし?」


「もしもーし。」


「ああ良かった良かった。久しぶり。」


「誰?」


「オレだよオレオレ。最近どうよ。」


「オレ?だから誰だよ。」


「オレだって!分かんないのか?」


「……?その声どっかで……」


「そうそう!思い出してくれ!頑張って!」


「……俺?俺?!俺の声?!」


「そう!お前の声だよ!」


「え?ちょ、ちょっと待て。お前、何なんだ?」


「だあからオレだよ。オレがオマエでオマエがオレなんだ。」


「は?お前が俺で俺がお前?……ありえないだろ何で俺はオレと喋ってんだ?え?」


「まあまあ落ち着け。オレは、未来のオマエなんだ。」


「頭おかしいんじゃねえの?いたずら電話だなはいもう切るぞ――」


「ちょちょちょ待ってくれ!今そっちは何年の何月何日だ?」


「……――年の六月十三日。」


「そうか、六月十三日か……お前今彼女が出来て一ケ月くらいだろ。」


「え!?……ちょうど一ケ月だ……どうなってんだこれ。」


「な?だから言っただろ?オレは未来のお前だって。」


「……あいつとはどうなってるんだ?」


 …………


「……そのことで今日電話したんだ。」


「え?」


「あいつは今から十二年前、ちょうど六月十三日に、事故って死んじまったんだ……。」


「え。」


「しかもちょうど俺の家の目の前で。」


「うそ……だろ。」


「そっちは今何時だ?」


「……四時四十三分!」


「四十三分!?まずい!時間が無い!走れ!家の目の前の交差点だ!」


「うん!」


 ドタン、ダンダンタタッタ…………ファァァァァァァァン!ギュキィィィィィドンッ!


「あっひゃっはっひゃっひゃっひゃぁ!あいつほんとに行きやがった!あああっひゃひゃひゃひゃひゃ!こ、れ、だ、か、ら、オレオレ詐欺は止められねえんだ!ひゃっひゃっひゃ!……あれ?体――え?透け――ちょ待て待て待て待てもしかしてあいつほんとにオr」


 ツーッ、ツーッ、ツーッ、ツー――――

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