1-14 幸せの果ての、その先へ至るための戦い
「幸果様っ……♡」
「智奈……そんなにくっついたら恥ずかしいわよ……」
恥ずかしがる幸果の腕に、智奈が嬉しそうに抱きついている。智奈がバイト中でないのに、幸果を様付けで呼んでるな?
俺と文太郎は、何とか生きて目醒めることができ、ボロボロになりながら幸果と智奈の尊い姿を見ていた。
ああ、俺と文太郎が壁に叩きつけられて気絶している間、幸果と智奈は何をしていたのか……想像を掻き立てられてしまう。
そういえば、智奈を昔救うことができたのは、俺だけじゃなく、幸果のおかげでもあったな。
そりゃ、智奈が俺のことだけじゃなくて幸果のことを好きになってもおかしくないし、俺なんか放っといてこの二人には是非とも結婚して幸せになってもらいたい。
「さて……アンタら、まだお仕置きは終わってないんだからね?
文太郎の言ってた通り、私の男殺しの奥義のコンボをアンタ達に次々かけて、より多く耐えられた方が勝ちって勝負をするのよね?
今の私は気分が良いから、やめてやってもいいわよ? アンタらもさっきの一撃程度で満身創痍みたいだから可愛そうだし?」
幸果は、俺達をバカにするような目で見ている。
それに対し、俺達は。
「ああ、ありがとう。俺達は……」
「ふむ、かたじけない。拙者達は……」
「「当然、幸果(殿)の男殺しの奥義のコンボを喰らってやる(でござる)!!」」
答えは一つ。
幸果の男殺しの奥義を喰らいまくって、より至高の、幸せの果ての、その先へ、辿り着くために--!!!
幸果よ、お前の奥義を喰らいまくって耐えまくって、俺達の耐久力の高さを見せつけて見返してやるぜ!!
「らいくんとぶんちゃん、自殺願望でもあるの〜? おばかさんだね〜☆」
「幸果、やっちまえー! 頼人と文太郎を一思いに逝かせてやれや!!」
「智奈は、流石に頼人様と文太郎様がとても心配ですっ……!」
幸果以外の女の子達が呆れたりヤジを飛ばしたり心配したりしている。
俺と文太郎の決意は固い。それに応じることなどない。
幸果は--
「ふーん……本当に、良いのね?
私、気分が良いって言ったけど……だからこそ、いつもより力が溢れてくるのっ……♪
頼人、文太郎、アンタ達を、至高の幸せの果ての、その先まで、ぶっとばして、あ・げ・るっ♡」
幸果が、智奈とイチャイチャしたせいか、いつもよりテンションが高いようで。
滅多に見せないニヤついた笑顔で、美味しそうな獲物を見るような眼で、舌舐めずりをして、俺達を見つめて、近づいてくる。
ああ……怖い、ヤバい、死が見える。そう確かに感じた。が。
ドキドキする。興奮する。気持ち良くなれる。俺と文太郎のアソコは立ち上がっていた。
「ありす、叶恵、そして智奈--危険だから離れてね?
さて、アンタらに最後に聞くけど、先に逝きたいのは、どっちかしら♪」
幸果の問い。ひょっとしたら、これに答えるのが俺達の最期の言葉かもしれない。
「お、おれ--」
「拙者を! 拙者を先に一思いにっ! 幸果殿っ!!」
くっ! 先に喋ったのは俺だが、小声過ぎた! 文太郎が大きな声で喋った、これは!?
「--そう。うふふ♪」
幸果は大ジャンプした。
そして、降りてきて--
「はふっ!?せ、拙者!!」
文太郎の肩に乗った。
「今回は特別サービスよ? 恥ずかしいけど、私の脚を、よ〜く堪能させてあげるからっ……♡」
幸果は死に際の男へのせめてもの手向けなのか……コスプレ衣装のスカートをめくって、その中に文太郎の頭を入れさせた。
おそらく文太郎には幸果のパンツの色が確認できたであろう。
そして、文太郎の顔面に股を押し付け、むっちりした太ももで挟み込んでしっかり彼の頭を固定する。幸果の気分が良いためか、股や太ももを悩ましげに動かして文太郎の頭に擦り付けているようだ。
文太郎は、ただただ黙るのみ。おそらく今現在の時点で彼は天にも昇る幸せを見ていることだろう。
しかし--この技がここで終わるわけがない。俺も文太郎もよくわかっている。
「さあ--文太郎、束の間の幸せを堪能して、覚悟はできたかしら?
それじゃ……ふんっ!!!」
幸果が掛け声と共に力を入れ、文太郎の身体が持ち上がり、派手に宙返り。
「私の奥義で--幸せに果てなさいっ!!!」
俺と、他の女の子達が、見ている中。
ドオオオオオンッ!!!
幸果の男殺し第一の奥義『
文太郎の頭は床に埋まり、床に亀裂が走った。
衝撃の大きさからして、昨日のゲーセンで大男に決めた時より、威力が増大している!?
「んんっ、はあっ……♪
智奈と愛し合って、力が溢れて、それを本気で男にぶつけて発散するっ……
さいっ、こぉ〜〜〜っ♡」
さ、幸果……お前も気持ち良くなってるのか? そんな恍惚とした表情を見せるなんて。
酒に酔うように、脳内でその手の物質が分泌してるのだろうか。
普段のツンとして強気な幸果からは想像できないような姿だ……
ていうか、文太郎は大丈夫だろうか。第一の奥義の時点で逝っちまったの、か--!?
どんっ!
早くも肩に重みが! そして、前が見えない!! 幸果がもう既にジャンプして俺の肩に乗ったのか!?
「ふふ、頼人っ♪ 文太郎の心配なんかしてる場合じゃないわよ?
まだまだ力を発散できてなくて物足りないから、間髪入れずに行くわっ♪
頼人にも、日頃の感謝の意を込めて、ほらっ……♡」
幸果がスカートをめくって、その中へ俺を導く。
幸果のパンツ。淡い薄紫色。
可愛らしく美しいパンツを穿いた股に顔を埋める。すべすべで柔らかな太ももに頭を挟まれる。幸果が太ももを動かして擦り付けてくる。
むにゅむにゅ。すりすり。最高に気持ち良い。
ああ……気分が良いからって、今の幸果は先程までとは打って変わって男へのサービス精神旺盛じゃないか。それなら俺も堪能させてもらうぞ?
「頼人っ……♡ いつもアンタが私の強過ぎる力を受け止めてくれるの、私はなかなか素直になれないけど……本当は感謝してるのよ?
たまには、ドスケベ変態野郎なアンタを、こうして喜ばせてあげるの、悪くないわねっ♪
……でも、アンタだけが気持ち良くなるのはイヤよ? アンタも私も、お互いに気持ち良くならなきゃいけないんだからっ♡
だから……えいっ!!」
幸果の俺への想いを聞いて--
それならば是非とも、溢れる力を俺にぶつけて欲しい、と思った矢先。
俺の身体が、ふわっ、と浮いて。
ぐるんっ!!
派手に宙を舞い。
「私の奥義で--私とアンタ、一緒に幸せの果てまで、イきましょうっ♡」
幸果の決め台詞の別バージョン! 超レアだ!! と興奮していると--
ドッカアアアアアン!!!
幸果の股と太ももに挟まれ、極上の幸せの果てを感じながら。
俺の頭は、潰された。
「はあ、はあ……頼人っ……♡
だ〜い好きよっ……♡」
それが、意識が途絶える前の、最期に聞いた言葉だった。
……また、ここか。
限りなく広がっている、優しく輝く、澄み渡るように青い世界。
よく見渡せば……お、いたいた。
「お〜い、頼人ぉ〜♪ 待ちくたびれたでござる〜♪」
「よぉー文太郎ぉー! 待たせたなー?」
文太郎と合流する。
俺達はふわふわ浮いて、上の白い光の先に向かっている。
「このまま、あの光に向かっていくでござるか〜♪」
「まあ、それも悪くねーな。
だが、よ……
あの光に辿り着いちまったらなあ……
もうこの青い世界にもいられなくなる。
二度と来ることはできない。俺達の存在そのものがなくなる。
気持ち良くなることすらできなくなるんだ。
だから……文太郎、お前の協力も必要になるが。
--元の世界に、帰るぞ」
「……ああ、わかってるでござる。
この世界は気持ち良いでござるが、いつまでもここにはいられない。
--頼人、いくでござる!」
「ああ!!」
「「うおおおおおおおお!!!!」」
俺達はお互いに気合いを入れ、身体から邪悪なる闇を放ち、この世界を黒く染め上げる。
一面、青い景色がなくなるまで、黒く塗り潰し、何も見えなくなる--
「……はっ!!!」「……いぃいやっ!!!」
俺と、文太郎は、目醒めた。
腕を床に立たせ、思い切りジャンプして頭を床から外し、宙返りして足から見事に着地した。
周りには、面白いものを見るような表情のありす、憐むような蔑むような失笑をする叶恵、別れを惜しんで涙していた智奈。
そして、仁王立ちする、幸果。
「ふん……アンタら、変態ドスケベキモオタだけど、やっぱり私が骨があると見込んだ男達なだけはあるわねっ!
次は、第二の奥義『
「もちろん! 幸果の奥義を、まだまだ受けるぜっ!!」
「拙者、頼人との決着が着くまで引くわけにはいかないでござるっ!!」
俺達は、まだまだいけるっ!
「そう……私も正直、もっと溢れ出る力を振るいたいの。 だからとっても嬉しいわ♪
アンタら二人、もう一度……いえ、まだまだ何回でも、幸せの果てまでぶっとばしてあげるっ!!」
幸果は、俺達が第一の奥義を耐えたことに喜んでいるようだ。
もっと喜ばせてやるからな!
俺と文太郎の、幸せの果ての、その先へ至るための戦いは、これからだ!!
※打ち切りではない※
なんでお前ら、俺のこと好きになるんだよ!? みーわん @miiwan_rn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。なんでお前ら、俺のこと好きになるんだよ!?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます