第2話 2個上の先輩
中に入るとそこには少し古びたソファーや、机が並べられていた。
黒い服に身を包んだ人は窓を開けフードを取った。
その時僕はその人、彼女に見惚れてしまった。
風でなびく長くて黒い綺麗な髪。凛とした目つきと筋が通った高い鼻。
「お、女の子?!!」
僕はふと我に帰った。僕は今の今まで女の子の後をつけていたのか。
そう思うとなんだか大変な事をやらかした気分になった。
「女だがそれがどうかしたのか?」
「いや、あの…」
「てか、そんなことより君、どうしてこんな所にいるんだい?」
「それは…」
「そもそも一般校舎の3階は今はどこの教室も使われてないから、生徒が来る場所ではないだろ」
「実は一階であなたを見かけて、ちょっと気になって後をついてきたんです」
「私の後を?!」
「はい…」
「なぜ、気づかれた。目立たないように変装していたのに…」
「いや、学校内で制服以外の服装は逆に目立つと思いますが…」
「た、確かにそうだな。次からは気をつけなくてはな」
「それより、あなたは一体?」
「君、人に名を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀だろ」
「すいません、僕は阿佐木祐一といいます。今日この学校に入学したものです」
「そうか、新入生か!私は、
「3年の先輩でしたか。それにしてもここは何の教室なんですか?」
「ここは、元生徒会室で今は私の部室みたいなとこだな」
「ここで、部活をしているんですか?!一体どんな?」
「そうだなぁ…よし、決めた!君がこの部に入るなら教えてやる」
「僕がですか…」
「嫌なら無理にとは言わないが、今日見た事は他言無用だぞ」
「実は僕、中学でも部活とかやってなくて、体力もなければ力仕事もできませんし、正直まともに活動できるかどうか…」
「そんな事は気にしなくて平気だぞ。基本この部は体力や筋力を使ったりするものじゃ無い」
僕は中学の頃からこのろくでなしな自分が嫌いだった。高校に入ったらまず部活に入ったりして少しでも自分を変えようとそう思っていた。
これは良いチャンスなのかもしれない。
「分かりました。僕この部活に入ります」
「そうか!よかったよ、後を継ぐものがいなくて困っていたんだ」
「では、改めて宜しく頼むよ阿佐木君!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします菅崎先輩」
「あの、それでこの部ってなにをするんですか?」
「そうだな、これから話す事は決して誰にも言ってはならんぞ」
「はい…」
「この部はな、簡単に言えば生徒達の相談や頼みを聞く部活だ。」
「なるほど、どうしてそれを内緒にしないといけないのですか?」
「そもそもこの部は学校にも生徒会にも認められていない非公認部活なんだ。その上、助けを心の底から欲している者のためにしか行動してはならない」
「まぁ、とりあえずは理解しました」
「うむ。理解が早くてよろしい!他にも細かなルールがあるがそれは後々説明するよ」
「にしても、まるで『学園警察』みたいですね」
「あぁ!それがあったか」
「どう言う意味ですか?」
「この部活はまさに『学園警察』そのものだ!」
「え、えぇぇぇー?!どういう…」
「いや〜、長々と説明したけど、学園警察だって言えば一瞬で伝えられたのか」
「いや、あのぉ…」
「なんだ?信じられないか?」
「なんというか、正直都市伝説だと思っていたので」
「まぁ、確かに今じゃ都市伝説として広まっているが、そもそも火のない所に煙は立たないからな」
「確かにそうですけど」
「信じるかは活動をして阿佐木君自身が体験して決めてくれ」
「分かりました」
「よし。とりあえず今日はもう遅いし解散だ。明日からもちゃんと来るんだぞ」
「はい」
そう言って僕は部室を出て校庭へ向かった。
「おーい、雄一!」
遠くから功太走って向かって来る。
「一体どこにいたんだ?探したぞ」
「ごめん、ちょっとな」
「なんかいい部活は見つかったか?」
「うん、まぁね」
「そうか、ならお互いこれから部活で忙しくなりそうだな」
「ちゃんと勉強もしないとな」
「くっ、見たく無い現実だ」
こうして僕の花山学園での高校生活の1日目は幕を下ろした。
学園警察 PTJ @hiroyaptj
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