第5話


 ある日から途端に冬が到来した。吐く息が凝った外気に当たり、白に染まる。私はかじかむ手をこすり合わせ、駅へと続く階段を上がる。黄色い帽子を被った私立へ通う小学生が私の横を駆けていき、私はそのランドセルにそっと心でエールを送る。


 改札を抜けると、すでに彰吾が立って、顔を少し下に向け携帯電話をいじっていた。私が近づくと目を上げた。


「早いね」


「おう」


 二人で並んで電車に揺られる。彼は中吊り広告に目をやり、私は流れゆく風景に目を凝らした。


 三年ぶりの、瑞晶がいない冬の季節。


 私は足早に過ぎゆく町並みを目で追いかけた。葉の落ちた灰色の木々、灯りの消えたパチンコ屋、道を歩いた俯く人たち。私は、狭い視界に映されては消えゆくそれらの中に彼の生きたかった道を案じる。


 急に景色がぼやけだし、知らずにぽろりと涙が落ちた。

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ポップメロンはソーダ味 四流色夜空 @yorui_yozora

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