…3ノ月01ノ日…
…3ノ月01ノ日…
今日は、隣の家に住むアレルのわんぱくで破天荒な行動に、みんなが笑った日。
魔物…魔物…と、最近のみんなはピリピリした空気を四六時中しているものだから、止まってジッとしていられないアレルが大暴れをした。
寒い時期とはいえ、お日様がてっぺんまでくれば、外にいても温かく感じる今日この頃。
その瞬間も、そんな頃にやってきた。
男手が、村の外周を警戒している中で、アレルはパンツ一丁で全力疾走。
挙句の果てには、俺は風の子だぜッ…なんて叫びながら、お母さんの言う事なんて聞きもせずに村中を駆け回る。
さすが子供の中では村一番の俊足の持ち主、アレルのお母さんとか、他の女手ではあのお調子者を誰も止められない。
そんなおふざけを、誰も怒る事をしなかった。
みんな重い空気の中で、楽しく生活するという事を忘れてたんだと思う、それができないぐらい思いつめていたんだ。
お父さんは言ってくれた、お前は俺が守ってやるからな…て。
みんながそういう大事な思いを持っている。
だから真剣に、大事な家族を守るために狩猟用の武器を持っていた。
男に生まれたからには、黙って自分の大事なモノを守る。
いつもお酒に酔うと、私の首に腕を回して、そのお酒で臭くなった口から発せられる言葉、いつもなら臭いし変な事言わないでって突っぱねる所だけど、今のお父さんの背中はとても頼もしい。
その背中を見て、そしてそんな言葉を思い出すのは、その言葉がお父さんの本音で、それを自分もわかっていた証拠なんだ。
それをふと思った時…感じた時、とにかく恥ずかしくて、お昼ご飯をお父さんに持っていった時に、何も言わずにその大きくて頼もしい背中を、思いっきり叩いてた。
すんごい八つ当たり、照れ隠し。
アレルの馬鹿な行動が、張り詰めていた緊張の糸を解き、そんな当たり前で、大事な事を思い出させてくれた。
いつもいたずらばっかして、女の人たちのお尻を触ってばっかな奴に、今日はありがとうを贈る。
もちろん、直接言わずに、心の中で…ね。
だって、直接言ったら絶対調子に乗るし、これでいいんだと思う。
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