五章

51.夢



「いりません」


かたくななその言葉に、相手が弱った表情カオをする。


「息子のせいですから、むしろこちらがお支払いをするべきです。本当に申し訳ありません」


「いえっ、保険で賄えるんで大丈夫です! 顔を上げてください……!!」


断固として受け取りを拒否する父さんを見かねて、弁護士が仲介に入り、相手の心の整理のためにも受け取ってほしいと説得した。それで渋々ではあるものの受け取りを了承した父さんと相手は、やっと金額交渉に話が進んだ。

私はその様子をただ眺めていた。

段取りが済んだあと、相手と弁護士を家族で見送る。


「馬鹿息子が……っ」


相手が去った玄関で、父さんが怒りの籠った声で呟いた。その怒りに肩や腕や拳を震わせる背中が、とても痛ましいものに見えた。怒りをぶつける先はもうないのだから。

このときいつもなら言い過ぎだと忠告するお母さんが黙っていたから、私も言葉に出せなかった。そんなに怒らなくても、と釈然としない気持ちだけが残った。

父さんの怒る背中がずっと忘れられない。

だからだろうか、今更こんな夢を見るのは――


ふ、とまぶたを持ち上げる。窓からは昇りかけの太陽からじわりと光が射し込んでいた。

まだ夢うつつの私は、普段より早く目が覚めたことに構わず、持ち上げたてのひらを見つめる。


「あのとき、この力があったら父さんのこともっと分かったかな……」


あのとき、父さんは本当にただ怒っていただけだったんだろうか。私や母さんと一緒で、悲しんでいたんじゃないのか。頑固だった父さんに、真意はついぞ訊けず仕舞いだった。きっと、訊けたとしても教えてくれなかっただろう。

夢で見た家族の姿は、前世のものだ。今の私は、アーベントロート国の第三王女、フィリーネ・エルナ・フォン・ローゼンハイン。魔法がある世界のお姫様だ。

掌をぐっと握り、ベッドから出て、姿見鏡すがたみの前に立つ。映る姿は金色の光輝くような長い髪に、宝石みたいに青い瞳、陽に透けるような白い肌の少女だ。ニキビができたら悲鳴をあげていた前世むかしの姿とは大違い。そっと鏡越しの自分と手を重ねると、一瞬、日本人の田中夕歌ゆうかの姿が見えた気がした。

それが気のせいなのか、自分の光魔法のせいなのか、どちらでもよかった。


「家族って一番分からないね」


そう前世むかしの自分に苦く微笑みかける。規模の違いこそあれど、前世むかしも今も悩んでいるのは家族のことだ。家族は、一番身近な存在で、一番解っている気になる相手で、一番解らない相手だ。

見た目は随分変わったが、自分があまり変わっていないなぁ、と自嘲した。



その日の朝食は、お母様とロイ兄様と一緒だった。


「フィルちゃん、どうしたの?」


「え、どうしてですか?」


「顔色が少し良くない」


お母様とロイ兄様の両方から心配そうな眼差しを浴びた。くまができていないのを身支度のときに確認したのに、この二人には判ってしまうのが凄い。気付いてくれる優しさに面映ゆさを感じ、半面、心配をかけた申し訳なさも感じた。


「えっと……、変な時間に目が覚めて、少し寝不足なだけです」


「悪い夢でもたのか?」


恐い夢を視るたびに、ロイ兄様のところに泣きついていたから、そう心配されるのも無理のない話だった。最近はそんな夢も視なくなったから、私は少しは成長したんだろうか。


「……ちょっと、寂しい夢を視ただけです」


「寂しい……?」


「はい。あっ、でも、もう大丈夫です。私には、お母様やロイ兄様がいますから!」


大したことじゃないから、暗くなりかけた空気を払拭したくて、こぶしを作って力強く言った。すると、お母様がふふっ、と可笑しそうに喉を鳴らす。


「フィルちゃんは本当に元気ね。けれど、寂しくなったらいつでも胸を貸してあげるからね」


寂しくなくなるまで抱き締めてあげる、と慈愛の籠った微笑みでお母様が言う。


「僕はフィルが安心して眠れるよう、ずっと手を握っていよう」


ならば、とロイ兄様まで、私をどう甘やかすかを告げてくる。私はそんな二人に思わず剥れる。


「もう、二人とも子供扱いがすぎますっ」


大人ではない年齢なのは解っているが、九歳になってそこまで甘やかされるのもどうかと思う。数年前には一人で眠れるようになっている。扱いの幼さに不満を感じて当然だろう。


「フィルはいくつになっても可愛いからな」


「そうよ。わたくしの可愛い子なのはずっと変わらないわ」


ロイ兄様にも、お母様にも当然のようにきっぱりと断言されてしまい、私はますます頬を膨らませた。確信を持って言うから、二人には敵わないと思う。これ、絶対これからも甘やかされるやつだ。

私の納得していない様子に、お母様は微笑む。


「これぐらいでいいのよ」


「どうしてですか?」


「だって、トラウゴット様は甘やかすのが下手だもの」


「下手ですね」


お母様は、父様の名前をあげて、ロイ兄様が首肯した。私は父様の話題になり、思わず表情カオしかめた。私は国王の父様に噛み付いた記憶しかない。もちろん、物理的にではなく言葉で。

光と風の二属性持ちかつ魔力が強いせいで、私は国としてかなり貴重な存在らしい。元々、王族でお姫様なのに、更に付加価値が付きすぎて城の外に出すことすら危ぶまれる。だから、なかなか外出の許可がもらえず、何度父様へ直談判しに行ったことか。

そして、必ず納得のいく正論で反対されるから基本惨敗する。

家族全員での食事は根気良く頑張ったら叶ったけれど、外出許可は負け通しだ。以前、ロイ兄様の市井しせいの視察に勝手について行ったときは、父様直々にこっぴどくお説教された。あれは本気で恐かった。

二人の口添えのおかげで、ロイ兄様が婚約者のお姉様に会いに行くときに同伴したり、お母様が招待されたお茶会に同伴することはできている。

そんな状態だから、私にとって父様は気難しい苦手な相手だ。この辺りは、ロイ兄様たちより第二王子のクラウス兄様と共感できて、一緒に愚痴を言い合ったりしている。

かといって、お母様たちが父様の厳しさを相殺するぐらいに、私を甘やかすことを正当化する理論には素直に頷けない。


「父様は、何を考えているか分かりません」


「あら、トラウゴット様はただ心配性なだけよ。大事な娘のことだもの」


「ええー」


「心配する気持ちも、分かるけどね」


お母様の言葉が信じられない私は、ロイ兄様の同意に首を傾げる。


「フィルは、大勢の人のところだと気分が悪くなるかもしれないだろう」


ロイ兄様の核心を突いた指摘に、私は押し黙る。私の持つ魔力のことを言っていると解った。一番最初に発現した、厄介な性質のことを。


「……もう、大丈夫です」


物心つくかどうかの頃の、他人ヒトから遠ざけられ、自分からも他人を避けていた記憶がよみがえる。あのときの泣いて怯えていた自分はもういない。魔力だって、ちゃんと制御できている。


「分かりました」


私が何を解ったのかと、お母様たちは首を傾げる。


「つまり、お父様も、私を子供扱いしてるということですね!」


皆して私を年齢より幼く扱っているということだ。この事実は悔しい。王族に必要な教養は頑張って身につけているし、もう少ししたらきっと女性的成長だってするはずだというのに。まぁ、お姉様ほど成長できる期待値はないけれど。

今度、父様にも抗議をしようと決意を固めると、お母様たちが顔を見合わせて苦笑していた。



夜になっても悔しさが収まらなかった私は、ちょうど白いテディイベアの瞳が光ったので、その向こうの相手に鬱憤うっぷんをぶつけた。


「ちょっと聞いてよ、イザーク!」


『何だ、いきなり』


うざったそうな返答がクマ電話から返る。それだけで、せっかく可愛く作ってもらったテディイベアの可愛さが半減した。黄色と緑のオッドアイに、真っ白な毛並み、それに薔薇色ばらいろのフード付きのケープを着せて可愛くしているのに。

好みのぬいぐるみに携帯電話の機能を付けたのは失敗だったかと、時々思う。


「みんなして私を子供扱いするのよ!?」


『いや、お前、ガキだろ』


何を言ってるんだ、と怪訝な声が返る。同意が得られないことに、私は剥れた。


「もうレディなのー! デビュタントはまだ先だけどレディなんですぅー」


『ああ、はいはい』


私の主張に、雑な相槌あいづちしか返ってこない。本当に電話の向こうの相手は失礼だ。

マナー教育や、ダンスの稽古も頑張って、お茶会の席でお世辞じゃない称賛ももらえるようになった。そろそろ私だって淑女レディ扱いを受けてもいいと思う。

不満をある程度吐いたあと、どうにかレディであることだけは相手に理解させようと試みる。


「今度、お姉様のトコロに行ったら私がどれだけ凄いか見せてあげるっ」


『いや、俺、作業あるし』


「ちょっとぐらいいいじゃない。あっ、お姉様たちとダンスの練習すればいいのよ。そうすれば、一人足りないからイザーク召喚できるでしょ」


『えぇー』


私の努力の成果を見せる口実を思いついた。けれど、クマ電話の向こうからは心底嫌そうな声が漏れ出る。一時期、ロイ兄様の代役をして、お姉様と踊れるぐらいにダンスができるのは知っている。


『それ、お前と踊ることにならねぇ?』


「イザーク相手なのはやだ」


うん、とイザークが嫌がる理由に私も同意した。ロイ兄様とお姉様は婚約者同士だからもちろんペアになる。すると、必然的に私の練習相手は数合わせのイザークになるだろう。

前世の兄とダンスをする図は、想像するだけで寒気が走る。

イザークは、前世では兄の田中太一だ。

お互い前世の記憶があったから、再会したことに割とすぐ気付けた。ただ一つ、解せないのはイザークという存在を、私が知らないことだ。

この世界は、君だけの小さな星-Dein einziger Sternchen-という前世で私がプレイしていた乙女ゲームの世界だ。私も、兄様たちも、お姉様もゲームに登場するからすぐに気付いた。だからこそ、前世の兄がゲームに登場しない、モブですらない人間に転生していることが不可解だった。

けれど、ここがゲームの世界かどうかはイザークにはどうでもいいことらしい。その影響か、最近は私もあまり気にしなくなってきた。兄様たち以外のゲームの攻略キャラに会ったりもするけど、お互いの立場上会ってしまうのは必然だし。

もしゲーム通りになったら、という危惧が完全になくなった訳じゃない。けれど、兄様たちに関して言えば、根底の問題がもうほとんど解決しているから、今後どうなるかが全く読めない。難しいことを考えるのは苦手だから、実際に何か起こってから考えようと決めた。

とりあえず、念頭の問題はダンス相手だ。


「私がロイ兄様と踊るから、イザークはお姉様と踊りなさいよ」


『それって、いいのか?』


「私が未婚の王女だから、家族以外の男性はNGって言えば……」


『つか、そこまでして見せつけたいのか』


「だって、イザークまで子供扱いするじゃないっ」


そもそも何故そこまでダンスの披露にこだわるのか、と問われ、私は怒る。私だって、甘やかされてばかりの子供じゃない。頑張って、兄様たちに頼ってもらえるような女性ヒトになるんだ。

皆に優しく甘やかされると、私が頼りない人間じゃないかと落ち込みそうになる。

せめて、誰か一人にでも自分の努力を認めてもらえないと、自信をなくしそうだ。だから、普段は王女扱いすら忘れるイザークも、私のダンスを見ればちょっとは見直すかと思った。


『あのなぁ、エルナ』


クマ電話の向こうで、仕方なさそうな声が溜め息と一緒に零れた。イザークにとっては呆れるようなことかもしれないが、私には大事なことだ。


『俺が、お前をガキだって言ったのは、俺もガキだからだ』


「え……」


『お前より歳上の俺がガキなのに、どうしてお前の方が大人になれんだよ』


年齢の話を出されては、そうだとしか言いようがない。確かに、九歳になった自分も、もうすぐ十二歳になるイザークも、どちらも子供だ。


『そりゃ、迷子になったりはしゃいでるトコしか、お前を見てねぇけど、お嬢がお前のこと褒めてたから王女としてすげぇのは何となく聞いてるぞ』


「お姉様が!?」


お姉様を話題にあげられ、思わず声が喜色に富む。ゲームでも嫌いじゃなかったロイ兄様ルートのライバル令嬢、リュディア・フォン・エルンスト。ゲームの頃より中身が可愛いので、大好きになった私のお姉様だ。


『お茶会で最初から最後まで姿勢が崩れなかったのはお前だけだったとか、歴史の点数がお嬢と同じぐらいだったとか……、暗記に偏りがあるのに頑張ってんだなとは思った』


「お姉様……」


自分で気付いていないところを見てくれていたのが嬉しすぎて、もうお姉様を呼ぶことしかできない。感激で思わず胸の前で両手を組んでしまい、祈るようなポーズになった。

一応、イザークも評価してくれているっぽいのも解った。歴史は確かに、前世ではアニメやゲームの推しキャラに関係する箇所しか興味がなかったから、時代によって点数差が激しかった。今は王家の歴史を学んでいるから、ロイ兄様への愛が試されていると思って頑張っている。


『あんま焦んなよ』


「分かったように言わないで」


宥めるような声が存外優しくて、けど、焦っているのに気付かれて恥ずかしいから、ついぷいっと顔を背けた。


『まぁ、分かんねぇな。俺も焦ることあるから、そうかと思っただけ』


自分からカッコ悪いことをバラすから、驚いてクマ電話に振り向いた。前世まえはそんな弱音みたいなことを、妹の私に言わなかった。こっちが指摘しても、絶対意地張ってた。

こういうところが変わった、と思う。

一度、きゅっと唇を引き締める。彼が変わったから、という訳ではないが、話さないままでいるのも変な気がして、私は覚悟を決めて口を開いた。


「…………あの、さ」


『何』


「ずっと言ってなかったことがあるんだけど」


そこから先を知らない人に言うのは初めてだ。相手がイザークとはいえ、どんな反応が返るか分からなくて、どっどっと心臓が打って、緊張を高めた。

深く、ゆっくり、深呼吸をする。


「私、人の心の声が聴こえるの」


相手の反応が返るより先に、恐くて説明を追加する。


「ほら、私の適性って光と風でしょ? ニューロンとかシナプス的なのが光信号みたいな感じで、風属性で音に変換されるみたいで、こう表層心理ぐらいの思ったことが私には声になって聴こえるみたいなの。あ、もう制御できるから勝手に聴いたりはしないし」


魔力が強かったせいか、私は生まれて数カ月で魔法が発現したらしい。約十メートル範囲にいる人間の心の声が聴こえる体質だった私はよく泣く赤ん坊だった。物心つく前のことだから、自身の記憶ではたくさんの音が聴こえてうるさかったような気がするだけだ。

物心ついた頃になると、徐々に周囲に気味悪がられるようになって遠ざけられた。それで余計良くない感情の声が聴こえて、私も人を恐がって時々泣いていた。

私の能力に、最初に気付いたのはロイ兄様だった。

光属性を持つロイ兄様も、声として聴こえないものの人の感情がオーラで視えるから気付いたらしい。ロイ兄様曰く、光魔法は人を癒す力だから、相手の痛みが判るようになっているんだろうとのことだ。

私に対して、口から出る言葉と思っていることに変わりのないお母様とロイ兄様、そして侍女のテレーゼ以外は、ほとんどの使用人が避けるように私から距離を取った。父様は何故か心の声が聴こえにくい人だったから、平気だった。

第二王妃から向けられる感情は嫌悪だったから、恐かった。けれど、物心がつくにつれて表面と思っていることが食い違っている人の方が恐くなって、逆に第二王妃は裏表がない分、苦手意識が薄らいだ。

父様は、私のこの力が利用されては危険なものだから、他国に知られないよう機密事項にした。だから、ロイ兄様に手伝ってもらって能力を制御できるようになって以降、知っている人はほぼいない。クラウス兄様にだけは打ち明けた。考えていることを知られるのは少し恥ずかしいな、と照れただけだったクラウス兄様は天使だと思う。

と、ぐるぐると回想ができるぐらいには沈黙があった。反応がないのが、逆に恐い。


「……引いた?」


『んー、使えても楽しくなさそうだなってぐらい』


「それだけ……?」


不便そうだとしか感想が返らず、拍子抜けする。気味悪がられてばかりだった能力だから、どん引きされないか緊張していた私の時間を返してほしい。しかし、受け止めが軽すぎないだろうか。


『てか、なんでそれで俺が引くんだよ』


「だって、だって」


『お前、勝手に部屋入ってくるわ、俺が帰るより先に俺の部屋で寛いでたりしてただろ。今さらプライバシーも何もねぇだろ』


「だって、私の部屋より片付いているから、ごろごろしやすかったんだもんっ」


『片付けろよ』


「片付けてたじゃん、たまに!」


太一の部屋が襖なのをいいことに、割と乱入していた自覚はある。長期連載漫画のコミックを一気読みしたあととかは、自分の部屋で落ち着きにくかったから勝手にお邪魔していた。据え置きゲーム用の共有の液晶が太一の部屋にあったことも原因の一つだ。


「でも……、そっか、今さらか」


だからなんだ、としか反応を返さないイザークにほっと安堵した。もう血は繋がっていないけど、家族に化け物扱いされるのは結構キツい。気味悪がられなくて、本当によかった。


『どっちかてゆーと、お前のブラコンさに引いてる』


「なんでよ!? ロイ兄様がカッコいいのは世界のことわりじゃない!!」


前世で推しキャラだったとき以上に素敵になったロイ兄様の良さを解らないなんて、奇怪おかしい。これは、今まで以上にロイ兄様の素敵さを語らねばなるまい。


「いい? ロイ兄様は、そりゃ君星のときから正統派ヒーローでカッコ良かったけど、今はそれがグレードアップしてるの。自分で闇との二属性なのを乗り越えたし、たまに見せる年相応な笑顔が可愛くって、もう最強なのよ!! 外見に至っては、ゲームより素敵になるの確定なんだからっ」


『なんで、確定なんだ?』


「私が、髪伸ばさないでってお願いしたからよ!」


ずっと惜しいと思っていたのが、ロイ様の髪の長さだ。私はロン毛より短髪の方が好みだから、絶対短い方が似合うと思っていた。お願いしたら、ロイ兄様は了承してくれたから成長しても尻尾のないロイ兄様が拝めるのだ。これはもうビジュアル的にも最強だろう。

私が豪語すると、クマ電話の向こうでうわぁ、とどん引きした声がした。


「何よ、重要でしょっ」


『いや、どうでもいい』


どうしてここまで言って、ロイ兄様の価値が解らないのか。

そのあと、結局どんなに言い募ってもイザークにロイ兄様の素敵さを理解させれないまま、夜は更けていった。

眠りに落ちる前、これで最後にしよう、と夕歌の私で想いを馳せた。


父さん、やっぱり兄貴は馬鹿で失礼なままだけど、ほんのちょっとマシになったよ。


もう寂しい夢は視ない。


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