それは妖怪の仕業ですね




 〜前回までのあらすじ〜







「へただなぁカイジくん……へたっぴさ……!

 知識のひけらかし方がへた……!

 カイジくんが本当に欲しいのは……称賛……!

 自分が世間に認められて周りからチヤホヤされてさ……!

 他の作家にドヤ顔したい……! だろ……?

 だけどそれはあまりに難しいから……

 こっちの……しょぼい新参にケチつけてごまかそうって言うんだ……」





 って俺の中の大槻班長ゴーストがささやくので急遽前回は不死者イモータル回になりました(すごくオブラートに包んだ表現)

 誰がしょぼい新参だよ。私か。そうだったわ。


 そもそもアンデッドって所詮は創作の存在なので、説明する人によってコロコロ変わるんですよね。

 私はWikipediaの「死にきってないものたち(死者でも生者でもないもの)」って表現が面白かったので採用したんですが、新紀元社から出ている「アンデッド」には




「……死んだはずの者が、墓場から這い出し、死したまま動き、時に生者に害を為す。死者でありながら、死者でないモノ、それがアンデッド──Undeadである。

(中略)

今やアンデッドは単なる甦った死体だけを意味するのではなく、人間が理解することのできない死の世界から現世へと戻ってきたモノ、死を超越し不死たる能力を得たモノたちを指す言葉になったといえる」

(新紀元社 久保田悠羅とF.E.A.R.著 アンデッドより引用)




 って書いてあるんですよね。

 割とこういうのは書き手の主観で変わるもんなんですよ。

 さすがにアニヲタWikiで「死に損ない」扱いされてた時は笑ったけど!


 ということで、私の考察はあくまで「広く浅く、分かりやすく、独断と偏見(ココ重要)で」が、ポリシーなので、一部の方のご期待には添えないかもしれません。

 いや元々小説のネタ帳だし。

 「こういうのを求めてたんだ!」って方はぜひ創作に活用してください。








 生きている方も、そうでない方もこんばんは。

 前説がクソ長くなりましたが、今日も元気にやっていきましょう。



 さて本題です。

 「妖怪ウォッチ」をご存知でしょうか。

 あの小癪な地縛霊のネコが出てくるアニメです。

 「アンデッドの話をするはずなのに妖怪ウォッチの話を始めるとか頭おかしいのか」と思われるでしょうがお付き合いください。




 結論から言いますと、「妖怪ウォッチ」はアンデッドアニメです。




 話が飛躍しまくってますね。竜騎士のジャンプ(※1)並に。

 急に「妖怪ウォッチはアンデッドアニメです」と言われても「意味わかんねーよバーカ」って感じですが、一応根拠があるんです。ハイ。


 「妖怪ウォッチ」のマスコット枠のうち、地縛霊ネコのジバニャンや、浮遊霊ネコのフユニャンはまごうことなくアンデッドです。設定上幽霊なので。

 ロボニャンは……アイツはよくわかんないのでとりあえず置いときましょう。

 幽霊がアンデッドに含まれるかは議論の余地がありますが、ここら辺はあとで考察します。

 

 フユニャンが妖怪になった理由は明かされていませんが、ジバニャンが妖怪になった理由はアニメ「妖怪ウォッチ」やゲーム「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」で明かされています。

 生前のジバニャンはエミちゃんという女の子に飼われていたネコで、トラックに撥ねられて死んでしまった……というのがジバニャンが妖怪になった大まかな理由です。



 ここで重要なのがジバニャンの基本情報の一つである、「死んだネコが妖怪になった」ということです。



 我々の知る猫妖怪、いわゆる猫又や化け猫は「長く生きた猫が妖怪に変化したもの」です。

 「ゲゲゲの鬼太郎」や「地獄先生ぬ〜べ〜」には猫又・化け猫が登場します。

 「妖怪ウォッチ」にも、ジバニャンとは全く別(※2)の妖怪として猫又が登場します。

 ジバニャンと猫又・化け猫の違い、両者を隔てる要素こそ「」、すなわちジバニャンは死んだから妖怪になったのです。




 早い話、「妖怪ウォッチ」の死生観では幽霊≒妖怪なのです。




 この独特の死生観については、劇場版2作目の「映画妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」で詳しく語られています。

 この映画はオムニバス形式で構成されており、その1話目である「妖怪になったケータ」でなんと主人公のケータくんが死んで妖怪になってしまいます。

 主人公なのに初っ端から死んでいいのか。


 そんなケータくんが、死後しかるべき手続きを踏まされて妖怪になり、ユウトくんという少年の悩みを解決するべく奔走(足はない)するのが「妖怪になったケータ」のあらすじです。

 「妖怪ウォッチ」の世界では、例外はあれど妖怪は死んだ生物の変化した姿≒幽霊ということになります。


 この「妖怪ウォッチ」シリーズ独特の死生観に関しては「エンマ大王と5つの物語だニャン!」が初出ではなく、それ以前の「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」や「劇場版妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」の時点でも少しだけ登場しています。そろそろ真顔で「だニャン!」を打つのも辛くなってきました。


 「元祖/本家」および「誕生の秘密だニャン!」に登場するラスボス妖怪トキヲ・ウバウネは元を辿れば普通の女性で、無実の罪を着せられて死んだ恨みから妖怪になった、という設定の妖怪です。

 それ以外にも、人気妖怪のぬらりひょんや、シャドウサイドのコマさん(※3)も「死んだ人間・動物が妖怪になった姿」です。

 

 では「妖怪ウォッチ」の妖怪は全てが元人間、もしくは動物のアンデッドかといわれるとノーです。

 一定数、「妖怪という種族に生まれた」妖怪がいます。

 「妖怪ウォッチ」は色違いの別名妖怪の数がやべえ多いので正確な数は把握していませんが、




・コマさん一家

・ミカド族(先代エンマ等)(※4)

・イザナ族(カイラ一族)

・剣武魔神(不動明王等)

・鬼(酒呑童子等)

・ジュニア(ジバニャンの毛から生まれた)

・ツクモノ族(いわゆる器物妖怪)

・その他一部の妖怪




 ……などが代表的な「種族:妖怪」の妖怪です。

 他にもアンドロイド山田だのよくわかんねえやつらがワンサカいますが、そいつらについて触れてると脱線するのでやめましょう。


 なぜ「妖怪ウォッチ」の人間は死ぬと妖怪になるのか。

 それは元の「妖怪」という概念自体にアンデッドの側面があるからです。

 「妖怪ウォッチの妖怪」と聞くとなんだか実感がないかもしれませんが、実際の妖怪にも結構な数の「死んだ人間が妖怪になった」ものが存在します。

 高橋留美子の漫画「犬夜叉」に出てくる「たたりもっけ」は「死んだ子供の霊」ですし、京極夏彦の小説のタイトルで知られる「姑獲鳥うぶめ」は「死んだ妊婦が妖怪になったもの」です。




「オレは幽霊で、お前は妖怪! そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!」

「違うのだ!」




 ……どっちかというとザ・ニンジャよりブロッケンJr.の方が妖怪っぽい(※5)ですね。名前が。

 まあ実際違うところはあります。

 上の「妖怪ウォッチ」の例でも挙げた通り、人間が死んで妖怪になったもの以外にも、神が零落したパターンや、古いものに魂が宿ったパターン、まったく出所不明の妖怪もいます。


 ここでも鬼は「種族:妖怪」の妖怪なんですが、鬼という概念自体アンデッド的に複雑なのでいずれ考察します。

 ちなみに私はアンデッドっぽい妖怪の中で一番「どうもこうも」(※6)が怖いと思います。いやビジュアルがね……。


 しかし共通する部分もあり、およそ妖怪というものは「」が重要視されるのです。

 幽霊もまた「魂」だけの存在です。

 目には見えない、概念的な存在として、妖怪と幽霊は共通します。

 それをわかりやすく説明したのが、「妖怪ウォッチ」の死生観なのです。



(おそらく文章が「アンデッドはなぜ怖い?」に比べてバリカタですが、じつはこれが連載2回目だったんです……)








(※1)たまにジャンプしたまま帰ってこなくなりますよね。


(※2)別人ならぬ別ネコのくせに声は同じなんですよねあいつら……


(※3)シャドウサイドコマさんと通常のコマさんは完全なる別人ならぬ別犬です。


(※4)当代エンマ大王は出生に複雑なものがあるので表記を避けました。


(※5)ブロッケンJr.の名前の由来が「ブロッケン山」なんですが、そのブロッケン山に棲む霧の妖怪だと思われていた自然現象が「ブロッケン現象」です。


(※6)一人の体に二人の首がついてる、さながらシャム双生児のような妖怪です。妖怪になった理由はかなり端折ると「二人の名医がお互いに首を切り合って死んだから」。マッドネス。

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