写真の中に詰め込んで

過激派、妹登場

貰った飴を舐めている僕が教室に戻ると、クラスの雰囲気がいつもと違っていた。

「...ちょっといいかな？奏くん」

「どうしたの....」

（誰？この人.....）

「華織...の事なんだけどさ、機嫌わるそうなんだよね、だかさ...その....ね？」

「えっ...僕に何とかしろって言うの？めんどくさ....」

「と言うか！さっきの授業の時に華織がせっかく奏くんを起こそうとしたのに、それに対して煽るような事を言った君が悪いんだからね！」

「...分かった。行けばいいんでしょ？」

（面倒臭いな...本当に僕のせいかな？）

「....教えてくれてありがとう。ええっと？佐藤さんだっけ？」

「鈴木だよ！全く...クラスメイトの名前くらい覚えてよ...」

鈴木さんに教えてもらえて良かった。このまま華織を放置すると美桜に愚痴を言って面倒臭い事になってたし...

（今日はあと一コマやったら帰れるからこの飴で耐えよう思ってたのに...）

口の中に入れたばかりの飴を噛み砕いてから華織の机の前に立つ。

「帰りにゼリー買う...機嫌なおして」

「「「..........え」」」

ねぇ...ゼリーで許してもらえるのかしら？

いや、普通に謝ればいいのになんで物でなんとかしようとするんだ？！

やっぱり考える事が違うね〜不嶋くん...

「あ、あのぉ〜」

（？なんか教室全体がザワザワうるさいな）

「....は？」

ほら..華織怒ってるじゃん..

大丈夫か〜、あの二人が喧嘩すると面倒臭いぞ〜

「総合の時間としてクラス会開きたいんですけど...」

「....2つでどうだ？」

「「「えっ？！個数じゃないでしょ！！」」」

「うわ、えっ？個数だよな？華織」

「ん、....許す、林檎と葡萄ね」

「じゃあついでに僕の家でご飯食べてよ、美桜も喜ぶだろうし...」

「今日の夕飯の担当は？」

「僕だけど？」

「....なら良かった」

ねぇ...あの二人って付き合ってるわよね？

「あの！」

いやいや、付き合ってないって本人達が言うんだから付き合ってないんでしょ？

嘘！どっちも容姿的に見てもピッタリなのに...

「あぁぁぉのぉ！授業はもう始まってるんですけど？！なんで私のクラスはこんなにザワザワしてるわ、いい雰囲気をだしてる男女がいるんですかねぇぇぇぇ！！」

「あ、ごめん...」

「ごめんなさい、先生そんなにテンション上げなくても...」

ごめんな〜

ごめんなさ〜い

ごめんって〜

「あ、そんなに謝らなくても....とりあえずクラス会しよっか？」

「先生って将来悪い大人に利用されそう...」

「あれ？私ってもう大人なはずなんだけどな？」

「先生小さいからなぁ...お名前は？言える？」

「え？！えっと...黒崎連24歳です！」

カシャ

「いい笑顔ですね、今度飴をあげます」

「あ、ありがとうございます？」

「奏！先生で遊ばないの！じゃあ...よしっ、これからクラス会始めます。先生は私の席にどうぞ。奏は席についてね。後寝ないように」

「うげ...」

「私...遊ばれてたの....？」

「それでは...今日は先の話になるんだけどね？学園祭の話をしようと思うの」

（ねむい....）

「委員長〜なんでだよ、今はまだ5月だぜ？」

「いい質問ね、まぁ簡単に言うと...手続きがあるからよ」

「食べ物を出し物にするならそれをやるのに検便の提出に食べ物の予約。かなり面倒臭いのよ？」

「なるほどなぁ...」

（...あ、やばい）

「だから今のうちに決めるの、皆は何をしたい？」

（限界だ...）

「俺は...タピオ」

（Zｚ....）

キンコーンカーンコーン

「やっぱり決まらないかぁ....土日の間に考えといてね！先生、今日は掃除します？」

「あ、今日は掃除しなくていいよ！これから先生達で会議だから皆早く帰ってね！」

「分かりました...ちっ、あいつ寝てるし...」

「華織...今の口調はなんだい？」

「げ、起きてたのかよ....お母さんは内緒にしといて...お願い」

「全く...これじゃあ僕がいない時にカバー出来ないよ？」

「....ごめんなさい」

「まだ時間は沢山あるんだ、頑張ろう。あ、僕が日直だった...皆、さようなら」

とりあえず今日はお昼抜きだったから何か食べに行こうっと。

「華織。今から何か食べに行くけどどうする？」

「え、あんた今ので挨拶すましたつもり？」

「うん」

「最悪...まぁ、あんただから仕方ないか...皆、気をつけて帰ってね、さようなら〜！」

結局華織の意見で買い物に行って、家でおやつを食べて美桜を待つことに...したはずなんだけど...

「お兄ちゃんおかえり！」

玄関を開けた瞬間小さい物体が僕のお腹に飛んできた。

「うぐっ...ただいま...美桜」

軽くうずくまる。

「ちょっと大丈夫？こら、美桜。そういう物騒な事はやめなさい」

「華織お姉ちゃんも来てたの？！わーい！」

次は華織に向けて飛んでいった...無邪気で許されないこともあるんだぞ？

「だから！やめなさいって...」

「はーい...あ、2人とも手を洗ってリビングに来て？パンケーキつくったの！」

「「パ....パンケーキ？」」

「うん！本を見ながら作ったチョコパンケーキ！2つしかないけどお姉ちゃんにあげるね！」

「じゃあ先行ってるよ〜！」

美桜はドタドタとリビングまで走っていった。

「美桜も4年生何だから...パンケーキくらい作れるわよね...？」

「....美桜はカップラーメンですら作れない」

手を洗う。

「あんたお腹空いてるんでしょ？私の分もあげるわよ？」

「美桜は華織に食べて欲しいんだ、華織も食べよう」

処刑台...リビングへと向かう

「あんたそういえばカエルは？」

「忘れてた...何とかするよ」

「あ、きたきた！はい、どーぞ！」

「えっ」

（なんで？）

「チョコ混ぜたから真っ黒だよ！召し上がれ！」

（真っ黒すぎ...これは焦げてるって気づいてくれ...）

「あはは...奏。あーん」

「....？」

「うん、美桜が作った物はお兄ちゃんとして奏が先に食べてあげないと」

（これは食べたらまずい...何とかして奏に....！）

そんな華織の考えなんて知らないし、お腹が空いていた僕は...

「ん、分かった」

食べてみる...これはパンケーキだ、流石にそこまで変な事には...

「....！」

口の中に広がるチョコを焦がしすぎた苦味、そしてこれは何だ？何かレモンのようなオレンジのような...フルーツの味もする。それになんか塩っぱいぞ...まぁ簡単にまとめると...

「毒殺か...」

僕はその場で意識を失った。