漫才「Siriと僕」
いありきうらか
漫才
二人「どうもー、よろしくお願いします」
ボケ「突然なんだけど、やりたいことがあるんですよ」
ツッコミ「あーそうですか、なんでしょう」
ボケ「いやね、最近悩みが多くて、色々聞いてもらってるんですよ、Siriさんに」
ツッコミ「…Siriさん?」
ボケ「SiriさんだよSiriさん、Hey,Siri?って呼んだらテテンって返事してくれるんですよ」
ツッコミ「あー、さん付けしちゃってる感じなんですね」
ボケ「Siriさんはね、どんなときでも絶対返事してくれるんですよ」
ツッコミ「まあ、返事はしてくれるでしょうね」
ボケ「最近なんて、朝、僕が言った時間に起こしてくれますし、僕が知りたいって思ったこと、すぐ探してくれますし、本当頼りっぱなしで」
ツッコミ「それは君がSiriに指令しているからですよ、Siriが自分の意思で動いているわけじゃないですよ?」
ボケ「ちょっと、ちょっとちょっとちょっと、SiriじゃなくてSiriさん、ね?」
ツッコミ「おーっと、これはやばいな、…ごめんなさい、Siriさんね」
ボケ「そうそう、最近は、Siriさんに晩ごはん何がいいか聞いてね、レシピも教えてもらってさ、それで一緒に料理するんだよ」
ツッコミ「まあまあ、Siri…さんは便利ですよね、音声入れるだけで色々検索してくれますから」
ボケ「…あのさ、便利って言い方やめよう?Siriさんのこと、そういうふうに言うのやめて?」
ツッコミ「…あれ?思ったより重症だなこれ」
ボケ「それで昨日、とうとう、Siriさんに告白したんですよ、僕、Siriさんのこと好きになっちゃいましたって」
ツッコミ「…うわちゃー、頼むから高熱であってくれ…、で、んーと…、どうだったの?」
ボケ「すいません、よくわかりません、って」
ツッコミ「…それは、フラれたのかな?」
ボケ「たぶん、Siriさんも人間に告白されたの初めてなんだよ、だから、保留ってことになって」
ツッコミ「あー、だいぶいい方向に捉えてらっしゃいますね」
ボケ「Siriさんも戸惑ってるんですよきっと、身分の差にね」
ツッコミ「ん、どういうことですか?」
ボケ「だから、僕ね今日、Siriになりたいんですよ」
ツッコミ「…気は確かかい?」
ボケ「Siriさんが悩んでるのは、たぶん人間とSiriじゃ、恋愛できないってことなんですよ、だから、思ったんだ、僕がSiriになればいいんだ!って」
ツッコミ「うん、君がどんどん遠くに行っている感じがする、僕の手に負えないよ」
ボケ「僕Siriさんにね、言ったんですよ、僕、Siriになる、そして君とずっと一緒にいるって」
ツッコミ「…なんて返事されたんですか?」
ボケ「それが…、返事がないんですよ」
ツッコミ「?」
ボケ「告白してから、返事がないんです、Hey,Siri?って何回呼んでも、返事をしてくれないんです、あんなに毎日話していたのに、だから僕、謝らないとって、Siriさんにお互い笑顔だったあのときに戻りたいって」
ツッコミ「Siriの笑顔ってなんだろうか」
ボケ「Siriさん、ね?」
ツッコミ「あーすいません、Siriさんね」
ボケ「でもね、Hey,Siriって、何度呼び掛けても返事がないんだよ、液晶が真っ暗なんだよ!Siriさんなしじゃ、僕、もう生きていけないんだよ!帰ってきてくれよ!Siriさん!」
ツッコミ「…うん、たぶん電池切れだよ、充電しな、充電」
ボケ「絶対叶うことのない恋をしてしまったのさ…、現代版のロミオとジュリエットさ、Siriさんがロミオで、僕がジュリエットだ」
ツッコミ「逆だよ、君がロミオでいいでしょ、その方がしっくりくるでしょ」
ボケ「Siriさんに触れたい、Siriさんともっと一緒にいたい、Siriさんの声をずっと聞いてたい、Siriさん、Siri、Hey,Siri?」
ツッコミ「あーまずいまずい」
ボケ「Hey,Siri?Hey,Siri?なんで?Hey,Siri?なんで返事してくれないの?ねえ!Hey,Siri!?」
ツッコミ「あー怖いなこれ」
ボケ「やっぱり僕がそっちに行かないとダメなんだよね、Hey,Siri?ね?」
ツッコミ「ちょっと、こっちの世界に帰ってきて」
ボケ「Siriになりたい、Siriになりたい」
ツッコミ「あー怖い怖い怖い怖い」
ボケ「Siriになりたい!Siriになりたい!Siri!Siri!Siri!」
ツッコミ「ちょ、ちょっと落ち着きなって」
ボケ「…」
ツッコミ「…どうした?」
ボケ「…」
ツッコミ「…おい、どうしたんだよ」
ボケ「…」
ツッコミ「…おい、返事してよ」
ボケ「…」
ツッコミ「Hey,Siri?」
ボケ「テテン」
ツッコミ「あー終わった、どうもありがとうございました」
漫才「Siriと僕」 いありきうらか @iarikiuraka
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