2013年【西野ナツキ】52 シャイニー組と関わる。
運転席に山本が座り、ぼくと田宮は後部座席に並んで座った。
田宮は、とりあえず町中を走れと山本に言った。
「分かりました」
車が走り出してから、田宮は運転席を蹴った。
「おい、運転手。お前、なに者だよ? チャンさんと顔見知りみてぇだけどよぉ?」
山本は何の動揺もなく返答を口にする。
「私は少し前まで中学校の校長をしておりました。なので、この町に残った元生徒の成長を地肌で感じており、顔も広いのです。チャンさんとは、うちの生徒が一度お世話になったことで知り合いました」
「シャイニー組と関わったってことかよ?」
「ええ」
と、山本が簡単に頷くが、ぼくには話が見えてこない。
田宮はそんなぼくに構わず話を続ける。
「シャイニー組では、人を調理する為のキッチンがあるって話を聞いたことがあんだけど、本当か?」
「私は存じ上げませんね」
「なら、シャイニー組は近くの病院から死体を買って、人体実験しているっつーのは?」
「知りませんね」
「使えねぇー」
田宮は不満げに叫ぶと視線を窓の方へと移した。
数秒の間を取った後に言った。
「田宮くん。状況の方を、ぼくがまったく把握してなくてさ。移動の最中に説明してもらっても良いかな?」
「あ? あぁ、そーか。お前、計画だけで現場に居なかったし、今回の件も完全ノータッチだったか。仕様がねぇな」
彼の物言いに引っかかりがない訳ではなかった。
しかし、現状、田宮の言葉の端々から意味を読み取れるほど、ぼくは情報を持ち得ていない。
まずは彼の話を黙って聞く、それが最優先だった。
田宮は不快だと言わんばかりの声で以下のようなことを語った。
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