女の子同士
05.01 「やっぱダメ。男同士は有り得ない」
期末試験も終わり、春休みを迎えた。
「もう、
「じゃ〜あ〜、くっついてても出来ることしちゃおうか〜」
「ちょっと、膝に上に、ええっ」
「あのときの〜、つ、づ、き?」
「続きって、ダメだよそんなの。お母さんも節度をもってって……」
「でも〜、この子はしたいって言ってるみたいだよ〜」
「これは、だって、
「なんか〜、頭の中まで病状進んできちゃったみたい。
「落ち着いて、
えへっ! 僕は落ち着いてるよ? だって、こうやって
記憶を失ってた時なら平気だったかもだけどね。元々男だって思い出しちゃったわけだし、やっぱり、あんなのが入ってくるのは怖いよ。
「もう
「
とはいいつつ、これくらいは平気になって来ちゃってるんだけど。本当に脳まで侵食されちゃってるのかなあ。
うわあ、ちょっと気持ち良くなって来ちゃったかも……
「ううっ、わかったよ。でもキスだけね。キスだけならいいよ」
えっと……、ちょっとやりすぎたかな。自分で仕向けといてなんだけど、キスはちょっとな……
どうしよう、ドキドキしてきちゃった。いいのかなあ、このまましちゃっても。
『最初に症状が確認されてからおよそ1年。遂に性徴期性反転症候群の治療薬が開発されました』
目を閉じて、いつでもどうぞって態勢の
「遂に開発されたって!」
「
「ねえ、聞いた?
「もう。その気にさせといて……」
あっ、うん、そうか。その気にさせちゃってたね……
『ただ、臨床試験の結果では、女性化した患者には80%程度に効果が認められたものの、男性化した患者では30%に留まるということで、今後の改良に期待が寄せられています』
「30%か……」
「でも
「僕だけ戻ってもね。男同士でとか、ちょっと想像したくないかな」
「私は気にしないけど? 元に戻った
「……」
戻りたいか戻りたくないかと言われれば、戻りたいのは間違いない。ただし、それは
「やっぱダメ。男同士は有り得ない」
「じゃあ、私だけ戻って
「まあ、それはありかも」
そしたら、キスだって躊躇しないと思うよ。
「何それ」
「だって、
「ええっ? 子供?」
「うん。僕だけ戻っちゃったら子供は望めないんだよ?」
「それは……、そうだけど」
「大丈夫。採取は僕が手伝ってあげるから」
「ん? 採取? 採取って……」
「……」
自分で言ったのに顔が熱いかも。記憶を失ってる間に色々やらかしちゃってたんだよね、僕。それに、今僕は
「と、とにかく、話を戻すけど、先に
「一緒がいいんだけどな」
「確率を考えたらそれは避けるべきかな。さっきも言った通り、男同士は有り得ないっ!」
「
とまあ、割とあっさりと治療を受ける順番が決まったのだった。
「緊急家族会議だっ」
この男が騒ぎ出さなければ。
帰宅するなり、「ニュースは見たか」って騒ぎ始め、「やっと男に戻せる」とか1人で感激し始めた。
「もう1回言うけど、僕が治療を受けるのは
「何言ってる。お前、症状が進行してるんだろ。一日でも早く治療を始めないと元に戻れないかも知れないだろうが」
「確かにそうだけど、それより重要なことが在るから無理」
「重要って、元に戻るより重要な事なんてあるのか?」
「男性化した人への効果は30%なんだよ? つまり、
「だからって……、いや、済まん。御免な、
騒ぐ前に気づいて欲しかったけど、まあいいよ。
「
えっと、まあ、いろんな意味で。
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