03.02 「仕事、みたいなんだけど」
「おっはよ〜、
「おはよう、
「はい、お弁当♪」
「う、うん。ありがとう」
「ん?」
「なんか、すっかり女の子だなーって」
「そうかなー」
ブートキャンプから帰ってきてから、いや正確にはキャンプファイヤーの前で一緒に泣いたときからかも知れない。
「そうよねー、何かあったの?
「しいて言えば、
「そんな甘えた声出してると又変な噂が立つんじゃない?」
「こんなの
「えーっと、まあそうだけど」
そんな事を言われると守ってあげたくなってしまうのはホルモンバランスの影響なんだろうか。
「さあ、二人共、いちゃいちゃしてないで朝ゴハン食べちゃいなさい」
「は〜い」
「別に、いちゃいちゃなんて……」
最近はずっと一緒に登校している。
「誰も気にしないと思うよ? 姉弟なんだしさぁ」
「姉弟っていっても義理の姉弟なんだから、可能性が無いわけじゃないでしょ」
無いわけじゃ……
「そうなの?」
「……、少なくとも、結婚出来ないわけじゃ無いんじゃ……」
「結婚?」
「い、一般論としてよ。調べたわけじゃないけど血は繋がってないわけだし」
「ふ〜ん。僕は嫌だな。例え
「私だってそんなこと……」
想像したことないんだから。
「あーあ〜、元に戻れたらいいのになー」
「元に、戻れたら?」
「うん。そしたら
「言い掛けといて止めないでよ、気になるじゃない」
「何でも無いって」
「もう、ちゃんと言いなさいよ」
「やーだー。あっ、そろそろ他の生徒に聞かれちゃうよ。そんな女の子みたいな話し方してたらまずいんじゃないの?」
「そうね。そろそろ意識しないといけないね」
「ふふっ、
意識して男の子っぽく話すようにしてたんだけど、
放課後は別々に帰宅する。何かやりたいことがあるみたいで、授業が終わるとあっという間に居なくなってしまう。
私は
土曜日は午前中だけ授業があるから、
そうこうしている間にGWに突入。母の日が近いからと、珍しく
まず向かったのは、衣装をレンタル出来て、写真撮影もしてもらえるところ。
「ねえねえ、2人でチャイナドレス着ちゃおうよ」
「私は、こっちでいい……」
私は無難そうな黒いカンフー服を選んだ。
「えー、似合うと思うのにぃ」
似合うとかそういう問題じゃなくて。この体でチャイナドレスはちょっとね。
「
「
「うん、ありがと。
「えへへ。
可愛いというか、ボディーラインが強調されて、スリットから見える白い足も何かこう……
「では、こちらへどうぞ」
ポーズはカメラマンに言われるままなんだけど、結構密着させようとするんだよね。
撮影が終わったらそのまま中華街へと繰り出す。衣装は夕方までに返せばいいみたい。
「じゃあ、いこっか」
「ちょっと、そんなにくっつかないでよ」
「いいじゃーん。ん? もしかして体が反応しちゃう?」
「それは……、もう、
「冗談だってばー。待ってよ
一度は振り切ったものの、人混みが凄くて逸れないようにって
「だから、そんなにくっつかないでって」
「嫌?」
「嫌じゃ……ないけど」
きっと、ホルモンバランスがおかしなことになってるんだ。そうに違いない。
そのまま元町のジュエリーショップへ行き、母の日のプレゼントを選ぶのだと言う
四芒星の中心にダイヤモンドがはめ込まれてるのが気に入ったみたいなんだけど……
「
「うん、平気平気。初めての母の日だしね」
そうか、
「でも、そんなに出せない……かな」
「お金の事は心配しなくていいから」
「でも、それじゃ私は……。私のお母さんなのに」
「僕一人じゃ買いに来れなかったしね。二人からって事でいいじゃん。それに、今は僕の
「そうだね。じゃあ、ちゃんと返すから、今は貸しておいて」
「いいってば」
「そういうわけにはいかないから」
「うーん、どうしてもって言うなら、体で払っちゃう?」
「体、で……」
「えっと……、ごめん」
顔真っ赤にするぐらいなら言わないでよねっ。もう、ほんと今日はドキドキする。
結局、衣装のレンタルも、母の日のプレゼントも、最後に買ったお土産の月餅の詰め合わせも、費用は全部
「全部僕がやってみたかったことばっかりだし、いい仕事が見つかったから気にしなくていいよ」
って言ってたけど何の仕事? ずっとパソコンに向かってるみたいだし、変な事始めたんじゃないよね……
◇◇◇
GWが終わったらまた忙しいって。
「
「仕事、みたいなんだけど」
「何の仕事か気になってる、ってところかしら?」
「うん、まあ」
「だったら、後をつけてみようか。土曜日は何処かにでかけてるんだろ?
「そうだけど……」
こそこそ後をつけるなんて気は進まないけど、訊いても教えてくれないからな。
「なんだか面白そうですわね、私も参加させていただきますわ」
「じゃあ、決まりだね。今週の土曜日、授業が終わったら密かに
「う、うん……」
まあ、着いてくるなとは言われてないか。
◇◇◇
そして、その土曜日。
私達は
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