第46話 ここから、

 俺は地獄から戻ってきた。なぜか分からなかったけど。

 僕が困惑しているところに、一名の医者がやってきた。


「三月れいさん。あなたの体には特に以上は見られません。いたって健康的な肉体であり、健康な精神状態ですのご安心ください」


 医者の名札を見ると霜月佐々羅とネームプレートが付いていた。

 どうやらこの人は本当の医者らしい。


「あのー。車にひかれた気がするんですが…」


「はい。ですがその傷は極めて浅く、なぜそれで死んだのか分からないほどでした。ですがまあ生きているのですから、これからの人生を楽しみましょう」


俺は地獄のいたことが夢だったのかは分からない。だから今を楽しもうと思う。


「いおり。遊園地に行こう」


ーーもし…もしも天照に会ったなら、あいつには感謝を伝えなきゃならないな。


「れい。ジェットコースター乗ろう」


「ああ。上等だぜ」


この遊園地は楽しい場所だ。そして思い出の駐車場でもある。


「水無月。お待たせ」


「神無月。お前さ、いつまで待たせるんだよ」


ある者たちは青春を。


「睦月。やっぱ金があるやつは違うね。だって全部おごってくれるんだから」


「本当だよ。弥生はお金大好きだもんね」


「バーか。如月だって大好きじゃねーか。いつもお金お金騒いでるだろ」


ある者たちは欲望を。


「葉月。相変わらず花が好きだな」


「長月も野菜しっかり食べろよ。野菜には栄養がたくさん含まれていてな…」


ある者たちは情熱を。


「見て。あの人、芸能人の卯月じゃない!?」


ある者たちは苦労を。


「師走おじいちゃん。すっごくお腹減ったからお肉食べたい」


「文月。食べて良いけど、この修行が終わったらな」


ある者たちは修練を。


「皐月。あれで良かったのか?」


「うん。天照さんもあの方の心を取り戻せて良かったんじゃないの?」


「そうかな…。いや、そうだな。だろ、閻魔」


ある者たちは再発を。


これは、誰もがうらやむ物語。


「いおり。好きだよ」


「私も」


ーーこれは彼らの不思議な青春。

ーーこれが彼らの最高の青春。

ーーいつか壊れてしまうなら、永遠に繋がれますようにと。

ーー欲張りで良い。だから前に進める。欲張りであればあるほど前に進めるんだ。


神様の手帳、完。。

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神様の手帳 総督琉 @soutokuryu

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