後日談

第45話 そこは道無き果ての中

 俺は再び死んだ。


 ーーああ。またこの死の果てをさまようのか。これが俺の人生なのだろうな。


 俺は渦巻く世界の中、ただひたすらに流れに身を委せることしかできなかった。

 この謎の感覚を何度味わえば良いのだろう。

 いつの間にか心がこの世界に侵食されているようだ。


 ーーここの光は俺の心には届かない。まるで深海のよう。俺はもう誰にも心を打ち明けることができないのだろうな。


 俺はもう日の光を浴びることができないのだろう。


 ーーいつもこうだ。いつもいつも悩んでばっか。それにいつも日常では考えられない出来事に会う。俺がまだ子供だった頃もそうだ。

 空を見ていたら宇宙船が見えた。だから皆にその話をしたら、嘘つきだの、頭おかしいだの言われて、結局あの宇宙船は何だったのかな?


 ーーそういえばあれから何日が経ったっけ?

 ここに来てから5日以上は経過してる気がする。


 あーあ。このまま死にもせずこの世界を漂い続けるのかな。


「れい…。れい…。れい…」


 俺はその声で目を覚ました。その悲しみにくれた声は、聞き覚えのある声だった。


 ーーあれ…。いおり!?


「れい。…やっと起きたんだね」


 気づけば…俺は病院のベッドの上で眠っていた。


「あれ…。ここは?」


「れい。お帰り」


 状況は呑み込めなかった。だけどこれだけは分かった。


「ただいま」


 やっと…やっと帰ってきた。

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