第35話 自分を大切にする事

 今まで、私は八方美人になろうとしていたのだろう。敵を作らないように、誰からも好かれるようにふるまおうと、きっと無理をしていた。

 でも、どうやっても、私を嫌う人はいる。雑な態度や対応をしてくる人はいる。その人たちに、今までは、どうやったらよい関係になれるだろうか?とばかり考えていた。自分に負荷をかけて、自分自身の首を絞めていたのだろう。

 でも、今回、中小企業に転職して、その考えは一変した。全員に好かれる事なんて、あり得ないのだ。私が好きになろうとしても、相手がその気がないのなら、ただの無駄時間であり、精神をすり減らすだけだ。

 人間、ある一定数の人から嫌われて当然だと思う。十人十色、自分の考えと全く同じ思考で馬が合うなんて、あり得ない。

 最初から喧嘩するつもりは毛頭ないが、マウントを取ってくるような人、どうしても嫌ってくる人との関係が、ある程度の期間が経っても改善されなかったら、自分からそのような人と距離を置く。私は、「その人は見えない」、と思うことにした。無視ではなく、私の中で、存在自体が無いのだ。

 自分自身が頭にきてイライラする事。これはものすごくエネルギーが必要だし、正直、無駄なエネルギーの消費だ。

 その分、そんな事は忘れて、生きている間は、自分自身を大切にする。整体に行くのも良いし、趣味に没頭したり、趣味を見つけたり。

 本当に自分が好きな事、やりたいを仕事にできている人は、ほんの一握りだと思う。そう考えたら、私にとっては、仕事は生きていくための「しのぎ」でしかないと考えるようにした。生きていくための最低限のお給金を頂ければ、それでいいのだ。

 努力が報われるのは、学生まで。

 社会に出たら、努力は、まず報われることは無い。会社員であれば、上司に好かれるようにするとか、努力の意味合いやベクトルは、変わってしまう。

 では、自分で事業を起こしたり、会社で偉くなったら、自分の正しいと思う事ができるかと言えば、それも「異」である。

 たとえ社長になっても、株主やステークホルダーの意向は無視できない。自分の思い通りにできる事は、まず無い。例えそれが、100人中99人が、「正義」であると感じるものであったとしても、1人が重大な権限を持っていたら、例え白い物でも、その人が黒と言ったら、黒としなければならない。


 世界人口約70億人の富の50%は、8人の資産と聞く。人口の0.0000001%の人間が、地球上の富の50%を持っている。残された99.9999999%の人間で、地球上の富の50%を奪い合っている。

 でも、私たちは、日本という国に生まれて幸せだ。それこそ、第21話「オランダへようこそ」だ。赤ちゃんが生まれてすぐに死んでしまうような、水もない、貧困・飢餓の国も多い。それが世界に約35億人近くいる事実…。

 

 金がない、格差社会だ、世知辛い世の中だ、などと不平不満が募ってしまうが、自分が幸せであることを、再認識しないといけない。ドラえもんでのび太くんが、「あったかい布団で寝る、これ以上の幸せはない」と言っていた記憶がある。全くその通りだ。雨風をしのげて、布団に横に慣れるだけ、幸せなのだ、

 そして、自分を大切にしなければならない。せっかく生まれてきたのだから、無駄な労力は使わない。人に嫌われるのを恐れない。わざわざ嫌われるようなことをするわけではないが、最近、私はそのように生活をしている。

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