第30話 退職

退職しました。退職挨拶全文(一部略)。


10/15付で退職します、葉月マコトです。本日が最終出社となります。

誰だお前?って人がほとんどだと思います。あとは、やっと辞めてくれた、という

職制の方々の安堵の思いが多数でしょうか。


私は、2007年9月、〇〇プラントに機械設計で中途入社しました。

<経歴略>

この会社の、大部分の製品の機械設計に携わらせていただきました。


私は、この会社で大切なものを失いました。

しかし、大切なことに気づかせて貰えたのも、この会社のお陰でした。


まず、失ったものは、健康です。


 設計は、現場の人から見たら、涼しいところにただ座って楽してるっていうイメージだと思いますが、なかなか厳しかったです。

 構想段階のものや、開発が全く終わっていないものを、トップや営業が客に売ってきてしまう、そして納期も決めてしまっている。

 毎日、尻に火がついている状態でした。

 今はどうか知りませんが、当時は、月140~180時間の残業は当たり前、裁量労働制なのでみなし残業代30時間分しかもらえない、ハードな状況でした。産業医面談も血圧を測るだけ。

 

 そんな中、健康を失い、4年前より今の職場で働かせていただいていました。


 そこで、気づかせてもらったのは、働くことの意味の本質、です。

 私は、25年来、障害を持つ父と、高齢の母との3人暮らし。そろそろ親の手伝いもと思って、2007年に地元○○プラントの中途採用募集で転職させてもらいました。


 私は、この会社では、職制になったことが無いので、偉そうなことは言えませんが、企業に属する以上、会社上司の命令は絶対です。そこに反論や疑問を抱く余地はありません。


 会社を経営する友人に言われた言葉がですが、

 「夢を見なけりゃ楽しくないが、金がなければ生きていけない。」全くその通りです。私は、「生きる」ためだけに、働かなければならないと、気づかされました。

 そして、私は、自分自身の健康、両親の健康、つつましくも平穏に生活できれば良い、という気持ちに切り替えました。

 老後2000万円無いと生きられないなど、政府の発表もありましたが、そんなことを恐れるより、今日明日死ぬかもしれない命、今、ここで死んでも、まぁ、そんなに悪い人生でも無かったと思えれば、と考えを変えました。

死んでお金を持っていける訳でも無いです。


 退職を決意したのは、9月初めです。8月末、私の母が突然倒れ、緊急入院しました。そして、会社を突発で休ませていただきました。

 人事異動内示の前でしたが、9月初めには、私は部品管理係に行くことが決まっていたようです。部品管理係は、私はずっと希望していました。私は、人見知りですし、今の購買担当向きではありません。全国の協力企業様、全国拠点の知らない人、全国の顧客との会話は、正直苦痛でした。

 会社内の人としか話さず、黙々と仕事ができる部品管理係への異動は念願でした。


 しかし、部品管理の係長からは、私の家の事情を知った上で、突発で休むことは許されない旨のお話を頂戴しました。現場作業なので、朝電話でその日に休んでしまったら、どこかから急遽、人を補充する必要があり、会社の迷惑となるからです。


 でも、私は、この言葉を聞いて、「自分自身と両親を守る」という、唯一無二の、譲れない想いが崩壊する。そう思って、9/8、退職願を提出させていただきました。

 「仕事を面白くしないとダメ」というお言葉もいただきましたが、それも、私の「生きるために働く」の本質から外れており、ある程度の裁量と権限を許された人の発言としか感じませんでした。


 私自身は、虐げられてもバカにされても、プライドも糞もありません。

死人に口なし。後々、ある事ない事、事が大きくなって悪口を言われるのは分かっています。

 最近も、プライドが高いから部品管理係が嫌で辞めるんだって?や、△△さんと仲悪いから?など、言われる事もありましたが、そんな下らない事で、イチイチ仕事やめていたら、生きていけません。


小池一夫さんの言葉を借りれば

本人のいないところで人を褒める人は信じる

本人のいないところで人の悪口を言う人は信じない

本人のいないところで人の悪口を言っている人の言葉を信じる人はもっと信じない


 この部署は、この会社の中で、もっとも虐げられている部署ではありますが、××係長もよく仰る通り、このセクションが機能しなくなったら、この会社のすべての機能がストップしてしまいます。

 割には合わないかも知れませんが、とても重要な機能と役割をもった部署です。それを担う皆さんを生かすも殺すもは、今いる職制の皆様の手腕だと思います。


 皆様も、どうか、無理をせず、健康には十分ご自愛ください。一度失ったものは、戻ってきません。

そして、会社の発展を祈願して、退職の言葉とさせていただきます。


13年間、本当にありがとうございました。

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