コロッケパン
お餅子
コロッケパン
「コロッケパンだったら私がコッペパンで貴方がコロッケ。
チョコチップクッキーだったら私がクッキーで貴方がチョコ。
ショートケーキだったら私がスポンジケーキで貴方がクリームとイチゴ。
意味わかる?」
『なんか、美味しそうだね』
「ねえ!ちゃんと聞いてた?私の話。」
『ごめんごめん。ちゃんと聞いてたよ。
意味はちょっとよくわからないけど。』
「んもう!
ただのコッペパンがコロッケパンになるには
コロッケが必要でしょ!」
『確かにそうだね。』
「ただのクッキーがチョコチップクッキーになるには
チョコが必要でしょ?」
『まあ確かにそうだけど…
チョコチップクッキーになる必要ある?』
「ただのスポンジケーキがショートケーキになるには
クリームとイチゴが必要なの。わかった?」
『クリームとイチゴね。
なんか強引な気もするけど。』
「私、昔から小さいことは気にしない性格なのよ」
『良く知ってるよ。
あと君は負けず嫌いだ。』
「そんなことはいいの。
さっきの話、理解できた?」
『君がパンで僕がコロッケな話でしょ?
なんとなくわかったよ。』
「要するに私はアンタが居ないとただのコッペパンで、
ただのクッキーで、ただのスポンジケーキになっちゃうのよ」
『それでもいいじゃないか。』
「よくないわよ!そんなの私じゃないもの」
『じゃあ考え方を変えてみよう。
例えばメンチカツパンやメープルクッキー、スポンジケーキに関しては
どんな種類のケーキにもなることだってできる。
君は何にだってなれる。僕が居なくても、だ。』
「何度言ったらわかるの?
私はコロッケパンがいいし
チョコチップクッキーがいいし、
ショートケーキがいいの!そうじゃないと嫌よ」
『我が
そんなところも昔から変わっていないね。
それに、何かにならなくたって
コッペパンでもクッキーでもスポンジケーキでも、
どんな君でも魅力的じゃないか。』
「いつもアンタはそう。
私の気持ちも知らないで」
『君の気持ちは充分知っているよ。』
「じゃあなんで」
『それ、僕の正体を知ってて言ってる?
僕は死神だよ?君の死を管理しているあの...』
「じゃあ今すぐ私が死んだら付き合える?」
『そんなことしたら僕の首が飛ぶからやめてね』
「はぁ。じゃあどうしたらいいの?
私は一生コッペパンなの?」
『とにかくいう事を聞いて生き延びようね。
じゃないと怒られるのは僕なんだから』
その言葉を最後に、私の目の前からソレは消えた。
一人となった自室で私はため息を大きく吐いた。
知っている。
さっきまで話していたアイツは死神で、この世の者ではないことも。
それでも私は恋をした。
そう
私は
コロッケパン お餅子 @Oo_mochi27
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