4●疫病神のつぶやき(1)…“黒幕様”登場?
4●疫病神のつぶやき(1)…“黒幕様”登場?
諸君、ご機嫌いかがかな?
吾輩は
西暦2020年、じつに良い年である。
WHОが“Disease outbreak news”でC人民共和国(以下、C国)での新型コロナウイルスの発生を警告したのが1月5日。
それ以来、吾輩は世界の支配者、邪悪のアイドル、病魔界のラスボスとして君臨しておる。
名前が“コロナ”であるところが語感的に可愛くもあり、語源が太陽の放射光を意味するところが、いかにもアイドルな神様っぽくて気に入っておる。光栄であるぞ。
WHОは吾輩に“
吾輩が強いからだ。賢くて
つまり小人でなく武漢だからだ。
“武漢”も悪くないな。いかにも強そうな文字面である。
まあ、それはともかく……
吾輩はネットの王者でもある。
世界をかけめぐる情報のトップニュースに君臨し続ける晴れ姿。
あの、なんとか48とか46とかのセンターを独占しているみたいで、嬉し恥ずかしの乙女心がよくわかる。光栄であるぞ。
N国にはネット文芸だかネット小説なんぞのジャンルも
よしよし、せいぜい吾輩を崇め、褒め称えるがいいぞ。
なんといっても、世界に冠たる疫病神なのだからな、吾輩は。
……ということで、この筆者の駄文にも、こうして登場しておる次第である。
さてN国国民の諸君!
未来は明るいぞ。
なんといってもオリンピックイヤーである。
吾輩の分身が続々と上陸し、全国的な休校やイベント自粛で景気はどん底。
もう“オリンピックいやーん”な気分の諸君であろう。
さぶーい駄洒落もなんのその。
悪寒の走る不健康なオヤジギャグは吾輩の本分。
なにしろ疫病神なのでな。
しかしめげるな、ここでは明るい話をしてやろう。
まずは諸君、オリンピックに感謝しろ。深く感謝しろ。土下座して感謝しろ。
N国政府が“二月の五日間”に放った、全国的休校とイベント自粛のサプライズ。
この防疫策は、なにゆえかくも唐突に打ち出されたのか?
「IОCにオリンピック一年延期の可能性をほのめかされたから、ババッと尻に着火して、大慌てでやっちまんだろう?」と、批判するお方もおられるかもしれない。
さもありなん、そう思われても仕方のない
ということは……
“休校や休業に対応する準備がなかった”ことは確かなようだから、“その瞬間まで、やるつもりのなかった決断”であることも、まあ確かなのだろうと、吾輩は同情する。
となると、なぜ決断したのかは、“今、強烈な防疫策を打たなければオリンピックに間に合わない”というタイムリミットを突き付けられたからだ……と考えるのが、むしろ自然であろう。あ、あくまで吾輩の“個人の感想です”であるぞ。
にしても、「この一、二週間が正念場」という声、テレビのニュースで耳タコができるほど聞かされたことであろう。
ただし、何のための正念場か、は、もやもやとしたままだ。
しかし、「オリンピック開催の可否を判断するのは五月下旬」というリミットが以前、IОC委員の口から発せられたことから逆算すれば、なるほどである。
さて、このたびのウイルスの震源地となったC国が大規模で徹底的な防疫対策を実施して、ようやく「感染のピークを越えた」といった発言が見られるようになった。
WHОがウイルスの危険性を警告した1月5日から、およそ二か月だ。
とはいえ、まだすべてが“収束”したのではない。
今ピークを越したとしても、震源地での感染が収まるにはさらに二か月はかかるだろう。
とすれば、オリンピック可否判断の五月に、ギリギリ。
N国国内の感染を収めるにも、あと二か月では、ギリギリのタイミングだろう。
そこで「N国のこの“二つの決断”はオリンピック対策なのだ」という見方が出てくる。
ここで誤解しないでほしい。
吾輩は、“二つの決断”を非難するつもりは一片も無い。
アンチ五輪派ではなく、オリンピックの無事開催を心から願っておる。
だからオリンピック対策で決断した……と仮定しても、悪いことではなかろう。
要は、一日も早く、疫病神の吾輩を退散させることだからな。
だからN国国民よ、オリンピックに感謝せよ。
今年がオリンピックイヤーで無かったならば……
N国政府は三月に入っても“何もしなかった”可能性が否定できないのだからな。
なにしろ“直前まで決断するつもりがなかった”決断なのだからね。
IОC委員がしれっと、“どないや、一年延期すっか?”と漏らしたものだから、事態が一気に動いたのかもしれんわな。
それでも結果オーライだ。
五月あたりで吾輩を排除できていれば、御の字ではないか。
さてそこで、吾輩は一つ、思い至ることがある。
IОCの一委員がオリンピックの“一年延期の可能性”に触れた発言だ。
いかに疫病神の吾輩を恐れてのこととはいえ、思い付きでポロリと言ったはずがない。
んな重要なこと、ポロポロとマスコミに
当然、裏でどなたかと話をつけたうえで、発言されたのだと、吾輩は考える。
もちろんIОC会長は了解済みであろう。
会長が了解済みということは……
その背後におられる超巨大黒幕スポンサー様も、了解済みということだ。
おお、どことなくラノベの異世界王国陰謀ものらしくなってきたではないか……
オリンピックにおける超巨大黒幕スポンサー様とは何者か?
もう一目瞭然だわな。
かりに“黒幕様”としておこう。
この黒幕様が、“ま、それもアリかな”くらいのさじ加減でOKしたから、あの発言がマスコミに流されたのではないだろうか?
普通、そう考えるのが自然だろう。
そこで、ひとつの仮説が生まれる。
言っておくがこれはあくまで吾輩の心の中の“仮説”であって、預言でもないし予言でもなく、“一つの可能性を想像しただけ”である。社会に向けて政治的に意見するものでも提案するものでもなく、現政権にいちゃもんをつけるつもりも毛頭ない。
ただ、“一つの仮説”を、個人的に“つぶやく”だけである。
社会のあらゆる個人団体国家ともかかわりのない、創作的妄想のSFとして記述するのであって、社会にデマを流す意図は一切ないことを申し上げておく。
さて、N国のオリンピックの開催可否を最終的に判断するのはだれか?
N国政府ではない、A首相でもKО都知事でもない。
いずれも、決定権はカスほども持っていない。
これは明らかである。悲しいがそれが実態である。
マラソン会場が札幌に変更されたとき、IОCがサッポロと言えば一発でサッポロになってしまった。その事実が全てを物語っている。
しかしながら、IОC会長が自分の好みだけで決める……ということでもないだろう。
彼の背後に何者かがいて、会長の意志に多大な影響を及ぼしているかもしれない。
それが、“黒幕様”である。
おお、ラノベの大江戸時代劇っぽくなってきたではないか……
さておそらく黒幕様のご意向を汲んで、“一年延期?”の発言がなされたことは想像に難くない。とすれば……
“一年延期”の可能性が黒幕様サイドにおいて、具体的に議論の俎上に上がっているということではないかね?
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