誰か今が何どしか教えて下さい。

アリエッティ

干支とはいっても

 子丑寅羽辰巳午未申..太古の昔にそう決まってる並びも最近は目まぐるしく蠢くようになり、四年に一度、閏年に再度組み替えられるようになった。


「遂にこのときが来たか..」

ネズミに開催時期を誤って教えられ参加出来なかったオレはずっとこの日を待っていた。

「暦に新たに猫どしを刻んでやるぜ」

方法は以前と変わらず競走、っていっても随分と前の出来事だが。

足の速さならそこそこの自信がある。

「ネズミみたいに背中に乗ってゴールなんて事はしねぇからよ」

正々堂々列をなし、一斉にスタートを切る。

「よーい、ドンッ!」

まぁ別に一位を目指してる訳じゃないしな、軽く流して12位以内を目指せばいいのか。

「既に干支になってる奴はどんくらいの速さなんだろうな」


「よ、新入りか?」「ん?」

辰か。また独特な奴に声を掛けられたもんだな

「お前も参戦してるか、悪いが今年から猫どしが追加されるぜ?」

「猫どしかぁ、聞いた事ないな。

入れるように頑張れよ!」

軽く声を掛けた後蛇のように唸り抜かしていった。

「あんなものが何で干支に入ってんだ

友達いないだろアイツ。」

考えてみれば干支にも色んな奴がいる犬だのウサギだの、イノシシまでも、何処から湧いて出るのやら。

「ん?

あれネズミじゃないのか」

小さく丸い体。間違いない、ネズミだ

「追い抜いてやるか!」

少し速さを増し、不格好な背中を追い越して挑発する。


「先行くぜ...うん?」

ネズミにしては少し大きい、顔も見覚えが無い。

「何だあれ」

「彼はモルモットだよ、ねずみどしに変わって今は先頭を担ってる。」

「あれがか?

そういうアンタはえっと..犬か」

「違う、アヌビスだよ。」

派手な装飾に黒光りする獣の頭、現在の犬はアヌビスどし。

「エジプト神じゃん....牛は!?」

「ホルスタインだよ。」「よかった」

牛は裏切らない、いつもそこにいる。

「どうなってんだよねずみはモルモット、犬はアヌビス牛は運良くそのまんまだったがならウサギどしは!」


「蛇使いだ。」「なんだそれ!」

二個先にヘビがいるというのに、待ちきれなかったのか。

「オレも変わりつつある」

「辰どしは変わらないだろ、中々龍超えのトリッキー現れないから。」

「そうでもないぜ?」

「..うわ、なんかいっぺんに来た!」

辰の後を追うのはペガサス、ケンタウロス、フェニックスの三体。

三者龍共龍同様に暦で持て余す概念

「やはり架空的な存在からのノミネートはリスクがでかいな。」

「なんでもアリなの?」

ポピュラーかつ人気の猫が強めのチャレンジャーに圧されつつある。


「はぁ..なんだこれ。

エジプトの神と妖怪が並んで走ってやがる。こんなのが干支に入るのか?」

思ってた十二支象と違う。

猫は方向性の違いを感じた。

「帰るか、もうどうでもいいや

こたつで丸くでもなろうっと。」

猫は気まぐれでわがままだ、一度飽きれば他の娯楽を探す。

「今年は暦見るの絶対やめよ」

次の四年後の競走は観戦希望にて自宅でながら見するだろう。

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