第11話茶会の毒

肆の国玉座━━━━━エリオット・アーカイブの座する城のすぐ近くにあろうことか。

キル達が運営する保育所兼ギルド案内所もとい、殺し屋の本拠地があるのは・・・・・

恐らくこの場にいる者の誰一人と何ら違和感を感じることなく衣食住を共にしているだろう。たった一人の嘘つきを除いて━━━━━


「・・・・キルくん、ライアちゃん。突然で悪いんだけどさ。お使いを頼まれてくれる?」 

「え、おつかい?」 

「ボスに、してはやけに。素直・・・・」

「まあまあ、いいんじゃん。そのおつかい場所がね━━━━吾子のベビー・ラッシュ。そこにいる私達の‘仲間’にこれを」

渡されたのはどこにでもある只の紙切れだ。

僅かながらに油の匂いがしたのは気がかりだったが・・・・・・

「分かったよ。行くにしてもリリムちゃんのことは頼んだよ?・・・・いない間は寂しがるだろうし。」

「キルくんもそれでいい?」

「うん、問題ない・・・・リリム笑っていられるなら・・・・」

「そっか、じゃあ行っておいで。大陸まではかなり距離があるからいつも通り。私が作った転送装置までは気を抜かないよう!では、解散!」

・・・・・・・・・扉が閉められ、無理やり笑っている顔の筋肉をほぐす。

あの様子だとどうやら誤魔化せたらしい。

未来予知にもそう見える。

あとは・・・・

「リリムちゃん」

「ん?なぁに。ボスさん」

リリム達がよちよちと積み木で遊んでいるのに対し。ボスの顔は少し強張っているように見えた。その瞬間、リリム達の視界がクリアにけれども決して苦痛などはなく明るく楽しげな音楽や動く子ども達の絵。そして‘先ほど出ていったキル達’と一緒に踊っていて━━━━━

「ごめん、ごめんね?こんな卑怯なやり方しか出来ない私を許して・・・・夢は夢でもリリム達には笑って欲しいからさ・・・・・そろそろ出てきたらどうだい?魔獣を沢山束ねているけど。この保育所には君ですら入れないように術式が施されている。そんな城から眺めても何も見えやしないよ?我が弟子、エリオット・アーカイブくん」




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殺し屋のおっさんが幼女を拾ったらメロメロになってしまった 西銘勇河 @101101

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