言葉の朧月

櫻宮 百華麗

冷えたもの

静かに見守る この月夜



波の音が 心地いい



足と波を 触れさせて



顔を上げれば 見えた物



海に映るは 一途橋



月まで続く 一途橋



静かな貴女に 言ってみる



色が抜けた あの姿



貴女がいない あの姿



私は憎い と 言ってみた



すると貴女は こう言った



見てみたいわね その姿



叶うことなき その願い



静かな貴女と 一緒に居たい



色なき姿に 会いたくない



色なき姿に 音を上げて



波の音にも 不協和音



優しい色の 月はただ



雲に隠れて 見ないふり



月まで続く 一途橋



揺れて崩れる 一途橋



貴女は 優しく 見守るが



私の温もり 盗まれて



大きな海に  盗まれて



筏を掴んで 這い上がり



海面越しに 貴女を見、



はははと嗤ってみせたけど



貴女は私を 見つめてた



色が見えない 視えてくる



私の手足に 視えてくる



貴女は眠れと言ってくる



波は怒らず 子守唄



月は顔出し 照らしてて



あいつに会うこと もうないね



安堵の混じった 白い息



海辺で魅せる 紅梅が



白い衣を 羽織る夜

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言葉の朧月 櫻宮 百華麗 @hikari_sakuramiya

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