123話 みんなで一緒に

 焼肉を食べてお腹いっぱいになった私たちは、全員がお風呂に入り終えると、いつもより早めに布団を敷いた。

 まだ寝るような時間ではなく、不思議と疲れも残っていないので、のんびりくつろいで――


「悠理❤ キスしたいわ❤ ちゅっ❤」


 姫歌先輩は布団に横たわる私に覆い被さり、おもむろに唇を重ねた。

 前言撤回。のんびりと言うには、刺激が強すぎる。


「んぅっ!? んっ……ちゅ、ぁむっ」


 動揺はキスの快楽に塗り潰され、甘い口付けが思考をマヒさせていく。


「それじゃ、あーしはおっぱい揉ませてもらうね~」


 葵先輩もこちらに近寄り、宣言と同時に絶妙な力加減で胸を揉み始めた。

 触り方などは単なるスキンシップのそれだけど、私の体はお構いなしに反応を示してしまう。


「ゆ、悠理のここ、お、落ち着く」


 さらにはアリス先輩が横からお股に顔を埋め、そのまま大きく息をする。

 とどめとばかりに、足元付近に陣取った真里亜先輩が私の両足首を掴み、足裏を自分の胸にギュッと押し当てた。


「んっ、これ、思った以上にいいじゃない。足蹴にされてるみたいで、すごく興奮するわ」


 姫歌先輩とのキスが続く中、葵先輩に胸を揉まれ、アリス先輩が敏感な場所に顔を埋め、真里亜先輩の豊満な乳房の感触が足裏を襲う。

 先輩たちとのスキンシップによる幸福と快楽を存分に楽しみつつ、意地と誇りをかけて全力で理性を繋ぐ。

 そう、これはあくまでスキンシップ。恋人同士のじゃれ合いであり、決して性的な行為ではない。

 油断=絶頂なのは紛れもない事実。

 だからと言って、簡単に果てるのはプライドが許さない。

 なんて意気込んではみたものの、恥ずかしながら、どうやらもう……。


「~~~~っっ!」


 気絶こそしなかったけど、数秒の間、私の思考は完全に飛んでしまっていた。


「はぁ、はぁ……先輩たち、今日はいつにも増して、激しいですね」


 息を整えながら、自由になった体をゆっくりと起こす。

 ただのスキンシップで達してしまった自分を恥じつつ、仕方ないとも思う。

 同じ行為を続けているように思えて時々変化を加え、最後は明らかに四人がタイミングを合わせて刺激を強めてきた。


「うふふ❤ つい熱くなっちゃったわ❤」


「でも、本番はこれからだよ~!」


「今夜は、ね、寝かさない」


「気絶しても優しく介抱してあげるから安心しなさい」


 先輩たちは屈託のない笑顔を浮かべながら、私の体を扇情的な手つきで撫でた。


「望むところですっ。朝までと言わず、三日三晩ぶっ通しでも構いません!」


 すっかりスイッチが入り、自分でも驚くほど大胆なことを口走る。




 そして翌日、私たちはみんなそろって筋肉痛になった。

 さすがに三日三晩ぶっ通しは非現実的すぎる。

 食事やトイレ休憩を挟めば、不可能ではない……のかな?

 もちろん無理をする必要は微塵もないんだけど、長い目で見れば、可能性がゼロとは言い切れない。

 だって、これから何年――いや、何十年先もずっと、みんなで一緒にいるのだから。

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甘美な百合には裏がある ありきた @ARiKiTa9653

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