第7話 覚醒
「…うお!?」
ドゴン!
俺は金子を通り越して、金子の後ろにある壁に激突した
どうなっているんだ、いつものように走っただけなのに、まるで身体が綿のように軽くなった
しかも壁に激突したら壁が砕けた。でもそんなに痛くない
【僕が目覚めたから君の中の潜在能力が覚醒したんだよ】
…潜在能力?
【話すと長くなるから、今度ゆっくり話すけど、君の本来の力が目覚めたのさ。今まではこの世界の人間より少しだけ秀でた身体能力だったと思うけど、本来の君の身体能力はそんなもんじゃなかったってこと。足の速さはオリンピック選手以上、腕力は剛腕のプロレスラー以上、視力は…とめんどくさいからまとめると、この世界では君に勝てる人はいないってことだよ】
…どうなってんだ、俺の身体は。まぁこれなら、なんとかやれるかもな。
改めて刀を握り、金子に向かって走り出す
「うおぉぉぉ!」
キィン
俺は刀を金子に振り落としたが、弾かれた
「え?…ぐあぁ!」
そのまま金子に殴られ、壁まで吹っ飛ばされてしまった
壁に激突した時は全然痛くなかったのに、金子の一撃は死ぬほど痛い…
…どうなってんだ!この世界では最強なんじゃないのか!
【言ったろ?この世界ではって、さっきの斬撃も、普通の人なら切れたかも知れないけど、こいつは普通の人じゃないんだよ?】
…じゃあどうすれって言うんだよ!
【なんでも僕に聞かないでよ。そもそも、君、全然本気じゃないじゃん?僕は君を助けようと思ってるけど、君があいつを殺そうとしてないじゃん?】
…殺すってなんだよ!できるわけないだろ!今まで普通の高校生だったんだぞ!
【甘くない?普通の高校生だったかも知れないけど、今は違う。あいつを殺せるのはこの世界では君だけなんだよ。もし君が負けたらこの世界は終わりだってわかってる?】
…俺が倒せなかったら、終わり?
【そう、この世界のどんな強力な兵器も効かない、どんな生物にも負けない、終わりだよ。それでも君は殺す覚悟が出来ないのかな?】
ドクン…
考えてなかった…学校のみんな、両親、この世界の人間…みんな殺される…
ドクン…
また守れない…そんなのダメだ…俺が守らなきゃ…!
ドクン…!!
脳内に映像が流れてくる
【カズキ…貴方の手で私を終わらせて…】
「姫…様…。」
俺の身体と刀が再び炎に包まれる
赤かった刀身は熱され、さらに赤みが深まり、紅となっていく
俺は立ち上がり、刀身を金子に向ける
【殺す覚悟ができたみたいだね。普通の人はそんなに簡単に殺す覚悟なんてできないだろうけど、君は違うんだよ】
…殺す殺さないは別として、あいつを倒さないといけないんだ。力を貸してくれ、紅丸。
【わかったよ、マスター】
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