第9話 丁(てい)家の徐伸
最後に話し出したのは、大陸は
皆と同じように首を深々と垂れたものの、そのまま動きもせずに涙にむせていた。肩を揺らすばかりで、声にならない。昆が心配して肩に手を回すと、ますます咳き込んでしまった。口数も少なく、ほとんど話すこともなかったので、皆の眼は
「どうした、もうすぐ故郷に戻れるのだぞ。うれしくはないのか。」
「われは、故郷に帰りたいわけではない。むしろ、
「ならば、その涙は、誰に向かって流されるものであるのか。」
「われ、志、半ばにて魂を
「なんと、正妃家の徐氏と言えば、丁家の徐氏のことでありましようか。」
大陸の情勢に詳しい
「信じてくれとは言わぬが、話だけは聞いてくれ。十五年も前のことだ。わが一族から父、
話の通りだとすれば、
「ところが、昨年のことである。わが故郷の
なんと、丁家筆頭、徐氏滅亡の生々しい光景が、一人の男の口から、事細やかに語られているのである。
「次々に失われてゆく一族の命は忘れられようはずもない。わが
商の初代帝、
だが、近頃では、
この溝は取り除くことはできずに、
そこで、
正妃のご
ある時、
この時、
四人の遭難者は、それぞれに異なる世界、異なる人生を披露した。
それにしても、
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