第2話 響きの海神
湊を後にした
一行は、まず陸地に沿って南西に流れる潮に載った。
ぼやぼやしていると、船は北東に流され、
「
と、指を差して息子の八潮に諭した。
その
「かしこねが近くに迫っている。これ以上、沖に出てはならぬ。陸地に沿ってそのまま進め。」
という合図である。
幸いにも嵐に会うこともなく、一行は進路を大きく北に向けて反転させた。二日目の太陽が南の空に差しかかった頃、遠くに響きの
「あれが神島だ。響きの孤島とはよく言ったものだ。
曽良は、島を眺めながら
一行は、神島を見上げるほどに近づいた。波打ち際は、そそり立つ崖に覆われ、岩場に打ち突ける波は、白く濁る泡となっては、沖に消えていく。風も波も強くて寄り付けない。海が落ち着くのを待つよりほかはなかった。
「これより、響きの海、海神の世界に入る。みなみな、心の迷いを祓いて、海神に身を任せよ。」
その時であった。三隻の
三隻の船は、お互いに遠ざかり、離れ離れとなって波間の陰に姿を消した。
「響きの
いくつもの渦が
ようやくに難をのがれて神島の沖に出たのだが、息つく暇もなく、そこは、島ごと海底に吸い込まれるのではないかと思えるほど、巨大な
「いよいよ、海神のお出ましか。
「響きの
すると、真っ赤な渦の中から、白い
「
「
若宮の木箱は、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます