宝貝の海路
秋津廣行(あきつひろゆき)
第1章 西海の潮(うしお)
(1)かしこねの海
第1話 豊浦宮の弔い
だが、そこに
新宮の庭には、春を待ちわびた木々の花々が一斉に咲き乱れ、海を見つめる
今日は、入り日の太陽が真西に沈む日である。その姿が海の向こうに沈み込もうとしたとき、光の道の彼方に小さな島影が映った。響きの神島である。
入り日の差し込むのどかな空気の中で、
祈りが終わると、青紫の光に覆われた。たった今、沈んだ太陽を追いかけるように、微かな光芒が水平の向こうから
あめつちの荘厳なひと時が幕を閉じると、斎の庭では松明が赤々と燃え始めた。
だが、宴の賑わいと、ときめきの声は長くは続かなかった。その目出度いお祝いの満月の夜、
夜が明けると
「はて、母神とは別に弔いをせよとのことでありますか。いかようにとり行えばよろしゅうございましょうや。」
「この子は、新しき
「われらも海の民。しかと承りました。すぐに準備を整えまして出立致しましょう。」
すでに知らせを受けて待っていた
弔いの祈りを捧げ終えると姫神タツルは
「
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