第1042話 妖の力
「妖力……ってなんだ?」
妖を倒したメガネくんは妖力という新たな力を手に入れた。妖力は魔力とまた違う別物なのか? ぱっと見同じように思えるが、それだったら魔力でいいじゃんってなるから多分別物なんだろうな。
「私が調べたところによりますと、妖力とはこの世界における強さの指針、のようです」
「強さの指針?」
「はい。妖力が高ければ高いほど、強い妖を従えることができ、また妖の力を使う時もより強力になるようなのです。分かりやすく言うなれば、この世界におけるレベルとステータスを一緒くたにしたようなものでしょうか?」
レベルとステータスを一つにしたもの、か。分かりやすいな。この世界においては妖力が高い奴が強いってわけだな。分かりやすいじゃねーか。
「それで、メガネくんは今いくつなんだ?」
「えーっと今しがた妖を倒したので三つほど上がっておりますね」
ふーん、今の妖を倒して妖力を三つ得られるのか。これが良いのか悪いのかは分からないが、ただ一つ言えるのは、上がるのならば上げるまで、だ。
「よし、じゃあ妖力上げとメガネくんの特訓も兼ねてここの妖を狩り尽くすぞ。パーティで倒した時にどんな風に妖力が分配されるのかも気になるし、俺もこっちに来てからまだまともに体を動かしてなかったからな。飛ばしていくぞ」
「はい!」
そんな感じで俺らのダンジョン攻略がスタートした。何故だか分からないが俺にまでスイッチが入ってしまった。恐らくメガネくんよりも妖力が低いのが許容できなかったのだろう。
いや、別にこれはメガネくんを見下してるとじゃなくて、単に上司として、魔王として俺の方がより強くないといけないって話で……え、もし自分より強くなられたら頭でも力でも負けて自分の立場が無くなるからだろって?
「……【殲爆魔法】!! ビッグバンボム!!」
うーっし、これで妖力五十ゲット〜、ちょろいぜ全く。
「あれ? 陛下もしかしてただ今妖力を五十、獲得されましたか? 私も五十増えています……もしかしたらこれパーティを組んでいると自動的に等配分されるかもしれないです」
「……」
「も、申し訳ありません! こ、この妖力はどうすれば良いでしょうか? 私は自害すべきでしょうか!?」
おいおいこれじゃあまるで俺がパワハラをしているみたいじゃないか全く。
「大丈夫だ。メガネくんの妖力が上がる分には一向に構わないからな。それに俺が君を妖担当と定めたのだからそもそも俺の妖力を上げる必要はないんだ」
俺は柔和な笑みを浮かべ、自分にもそう言い聞かせた。
ん、ちょっと待て。メガネくんが最初にゲットした妖力三はどこに行ったんだ? その理論だったら俺も三もらっていいだろ。ちょっと不公平じゃないですか、バグじゃないですか、どうなってるんですか運営さん。
……なんか大人気なくなってきたな。もうメガネくんに妖は任せよっと。俺は一人でプレイヤーでも倒してストレス解消しよう。俺ってば魔王だし。
「陛下! 下の階層へ続く階段がありましたよ!」
ちぇっ、さっさと出ようぜこんなとこ?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妖力の不自然な分配については……
↓こちらで解説しております!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896389186/episodes/16817139554737568584
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます