第441話 絶対的な真理
「あ、先輩。彼ら結構ヤバいことしてますよ? ダンジョンで妖を狩り尽くしてますよ? 妖力めっちゃ稼いでます!」
妖力、か。いつもならここで妖力について彼女に質問していただろうが、今回の私は一味違う。もう既に妖力について知っているのだ。
何故なら、開発時に彼女から相談されたからだ。
この世界においてステータスレベルとも全く違う、新たな強さの指標が欲しいと言ってきたので、二人で頭を悩ませて考えたのだ。だから妖力については詳しいレベルにまで達している。
「ただ、妖力は妖力を既にたくさん持っているところに集まるものだろう? まだ妖を二人で一体しか従えていない彼らが幾ら狩り尽くしても効率が悪いんじゃないか?」
そう、これこそがこの世界のルールなのだ。現世の方ではそんな現象は起きないが、この世界は富めるものが更に富めるという残酷な仕様になっている。もちろん妖力においては、だが。因みに発案者はもちろん後輩だ。
妖力が高ければ高いほど妖力を稼ぎやすくなるし、妖を従えれば従えるほどまた得られる妖力も増える。
これは逆も然りで、妖力が高ければ高いほど妖を従えやすくなるし、妖を従えば従うほどまた多くの妖を惹きつけることとなる。
この仕様が正に、彼の覇道を防がんとする最大の要因なのである。いくら彼が強いと言ってもこの世界では厳しいのだ。
「と、思いますよね? でも、普通にゴリゴリ妖力を稼いじゃってますよ? そもそもその理屈は指数関数的に増加するっていうだけで、要は最初のスタートが大変ってだけなんです。でも、それを現世で培ってきた圧倒的な力を持って妖を滅していけばどうなりますかね?」
「あ、」
「しかも、普通なら妖を従えようとするんですよ? 従えるのと倒すのではどちらが大変か一目瞭然ですよね?」
「……」
「つまりはそういうことです。結局実力ある人は抜きん出るんですよ。それは現世も隔世も現実世界でも変わらないんですよ」
彼女がそう言った時、ふっと目の奥の光が消えたような気がした。私からすれば、彼女は才能に満ち満ちていると思うのだが、彼女自身は色々と思うことがあるのだろうか?
凡人からすれば天才は天才でしかないが、天才からすれば自身はただの人間だ。むしろ、基準が高くなってしまっている分、超えるべき壁、超えたいと思う目標が高くなり、その結果凡人となんら変わりない悩みを抱いてしまうこともあるかもしれない。
「んー、なんだ飯行「いいんですか!? ありがとうございます! ご馳走様です!!」お、おう……」
ん? ちょっと待て思ったた反応と違うんだが。萎れてると思って珍しくこの私から声をかけたんだが?
「いやー先輩から声をかけてくださるなんて! こんな日もあるんですね!」
そう喜ぶ彼女の顔には先ほどまでの憂いは一切見られなかった。むしろ、私が見たものが幻なのではと思うほどの変わりようだ。
はぁ、なんだったんだあの表情は。
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投稿し忘れてたーーー!!!!!
会話の途中で割り込まれるとき、自分は最後の鉤括弧を書かないことでそれを演出しているのですが、それってわかりにくいですかね?
皆さんの意見が聞きたいです!!!
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