第442話 互いを賭けて
私から彼女をご飯に誘うことは非常に珍しいのだが、誘うと一瞬だけ鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするものの、すぐさま後輩ムーブを発動してくる。
別に自分から誘っているから嫌だというわけじゃないが、もう少しくらい有り難がってくれてもいいんじゃないだろうか?
飯屋に着くなり彼女は注文を済ませ、談笑モードへと突入した。
「それにしても先輩、彼は隔世を脱出することができると思いますか?」
どんな話をするのかと思ったが、思ったよりもマトモな話のようだ。
彼に関する話題がマトモかどうかは置いておくが。
「そうだな。彼は我々には無い視点をもっているから呆気なくクリアしてしまうかもしれんな。ただ、一回ハマってしまえば当分抜け出せなくなる可能性も大いにあるだろう」
「ふーん、まあ、結局は脱出できるってことですよね?」
「まあ、そうだな」
「なら二人で賭けをしません?」
「賭け、だと?」
「はい! 私も彼は遅かれ早かれ隔世を抜けることは確実だと思っていますから、どのくらいで抜けることができるか、という期間に関して賭けをしましょうよ」
「ほう、それで君はどのくらいで抜けられると思ってるんだ?」
「そうですねぇ。私は……って、先に私の考えを聞いてから考えようっていう魂胆ですよね? 先輩が先に言ってくださいよ!」
「賭けを持ち込んできたのはそっちだろう? それならそちらが先に言うのが道理というものだろう」
「道理ってなんですか〜? 私はそんなもの知りませんよ? それより先に生きてる輩として教えて下さいよ!」
「分かった。じゃあ、私は一か月から二か月の間で行かせてもらおう」
「ほほーん、じゃあ私は三か月後で行きます!」
「これは今日から、ってことで良いんだよな?」
「勿論です! それと、賭けですから当然配当も決めないといけませんよね?」
「……そりゃそうだな」
「それに、先輩は二か月間で、私は一か月間しかないですから、私が当たった場合は当然配当は大きくなりますけど大丈夫ですか?」
「いいだろう」
「因みに今が期間を変更するラストチャンスですよ? 配当を少なくして期間を増やしても大丈夫ですよ?」
「んー、いや大丈夫だ」
「じゃあ配当を決めましょう! 取り敢えずお互いが決めますか? そこから調節しましょう」
「分かった。じゃあ私はもう決まったぞ」
「早いですね! 私も決まってます! じゃあせーので言いますか、せーのっ!」
「一か月間飯を奢って下さい!」
「一か月間奢るの禁止」
考えることはどうやら同じようだな。これは面白くなってきたな。
「ふふふっ、これで私が勝てば一か月間のパラダイスが……!」
後輩はもう配当のことを考えているな。気持ちはわからんでもないが、プライベートでも賭けてそうな表情だな、おい。
「互いの配当はこれでいいのか?」
「いいでしょう! 先輩の方が少し軽い気もしないでもないですが、私は寛大なのでね!」
いや、私が後輩に奢らせるのならそうかもしれないが、奢らないだけだぞ? ゼロの状態に戻っただけじゃないか。
「じゃあ、後は彼次第というわけだな。今回は賭けの場代として割り勘するか?」
「え、しませんけど?」
まあ、そうだと思ったよ。だが、面白そうなことを考えてくれたから今日くらいは会計を持つのは吝かではないな。
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という訳で、皆さんも参加してしみませんか?
賭けではなくて単なる予想ですが()
開始日は今日で、日数はリアルの日数でカウントします!
そう考えると先輩と後輩は結構長めに設定しましたかね?
場代は、♡で大丈夫ですよ?( ^∀^)
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